医師として肉体を救命し、僧侶として魂を救済する。
その二つの任を果たそうと、松本先生は日々格闘している。
でもその戦いは挫折の連続。
失敗するたびに落ち込み、自問し、悩む松本先生。
そんな彼の周囲には、しかし、人々が絶えず、立場や考え方を超えて集ってくる。
「人気者は僕じゃない」という、“おじさん” の決めセリフがそれをよく表していたと思う。
仏になることができるのに、そうならずに人の傍にとどまる。
“上がり” にならず、人と一緒にこの世のステージに止まって、苦楽を共にする。
人に伝わるのは、そんな菩薩の在り方だ。
悟りを開いた仏の言葉は、そのままでは届かない。...
圧倒的な濱田先生の巻。
みさきちゃんを救えなかった挫折感
そのトラウマでメスを握る手が震え
ハートセンターの夢も潰えた.
嫌味なほどに完璧で、
腕をたのみに生きてきた人間が
つまづいてはいけないところで
つまづいた。
憎らしいキャラだけど、
見ていて辛いほどしょげかえる.
そんな彼がどん底で出会ったのは
松本先生の言葉.
「自分自身を諦める(明らかに究める)」
ライバルの言葉が響いたのは
“おじさん” から聞いた松本の過去.
「患者を救うことで自分を救っている」
自分を見つめ直して得たこの境地において、
二人の間に深い絆が...
医療界の重鎮の孫と、シングルマザーの一人娘.
小さな命をめぐる松本と濱田の、それぞれの戦い.
白か黒か、パンダをメタファーにしながら
二人の関係は時に対立し、時に交錯する.
二人の関係の描写が予想以上にいい.
今回は特に “濱田先生回” と言えそうなほど、
はっきりとその性格が描き出された.
医者は、
金でも法でも、正義でもない.
命の奴隷だ.
この決め台詞が濱田のコアなのだろう.
そして、清濁はあわせ呑むけど、
どうやらお腹の部分は白いらしい.
そう視聴者を安心させてからの
最後のどんでん返し.
順風満帆にハートセンターをつかみ...
今回は死に際のお話。
個人的には泉谷しげるさんの役のように「周りに迷惑をかけずに死にたい」と思うだろうな。けれど、もし自分の親がそのような発言をしたときには松本先生と同じく「迷惑かけていい!」と言ってしまうはずだ。
これは単なる妄想でしかないんだけど、そうやって周りの人から「迷惑かけていい」と言ってもらえることで初めて自分の本心に気がつくことってあるんじゃないかな?「周りに迷惑をかけずに死にたい」と思っていたはずなのに、「あれ?迷惑かけていいんだ。本当は、迷惑かけてしまったとしてももう少し生きていたいって私、思ってたんだ」って。
戸田菜穂さん演じる乳がん患者の母親は、残...
今回もホロリときてしまった。
まず松本先生が大切に思っていたオジさん(泉谷しげるさん)のがんのこととか。
「治療はしない」と最初は言っていたけれど、
それが本心ではないかもしれないって気がついていく松本先生。
そして同時期に三宅先生の元彼が緊急搬送されてきて、
さらに難病をかかえていて命が残り少ない事もわかってしまう。
お誕生日を祝う三宅先生に「ありがとうっていうと思った?」と
冷たく言い放つ吉沢悠さん、すごいお芝居に引き込まれてしまったよ。
どうせ死ぬんだから何も残したくなって気持ち
本心だけど本心じゃないんだよね
ただただ辛いんだよね、大切な人を残して...
患者は嘘をつく
「痛くても痛くないって見栄はったり
痛くないのに寂しいから痛いって、
嘘ついたりするんだよ.」
誰でもいつかは死を受け入れなければならない.
そして旅立つ時は誰もが孤独だ.
それ故、死を宣告された者は周囲から心を閉ざす.そうするのは残された周囲の寂しさを思いやると同時に、死を先取りすることでその孤独の痛みを少しでも和らげたいからなのかも知れない.
でも引きこもることは、孤独のかわりにはならない.
孤独とは単に人から遠ざかることではなく、
自分自身の運命を、自ら背負って立つ、ということなんだろう.
これは、たとえ死を宣告されていようと...
あまりに悲惨な状況に、我を忘れて暴力を振るい、
謹慎処分をうけた松本先生(伊藤英明)。
確かにあの状況では、誰でも激怒するでしょう。
殴りたくなる気持ちもわかります。
でも、そうすることで誰かが救われただろうか?
己のいらだちを、正義をかさにして相手にぶつけただけではないか?
そんな和尚からの問いが、松本の心の殻をひとつ剥がします。
なるほどね、と身につまされる話。
カッとすることは誰にもある。
暴力、とまではいかなくても、ちょっと怒鳴ったり
嫌味を言ったりしてしまうことはけっこうありそう。
そんな、感情が沸騰しそうになった時には、
一瞬立ち止...
松本先生(伊藤英明)の熱が周囲を巻き込んでいく。
今回のキーワードは千手観音。仏教的には、雲の上のお釈迦様より身近に存在していて、情愛に満ちた千本の手と、その掌についた眼で人を救う。そんな存在が松本先生の理想らしい。
でも高すぎる理想は、みんなから賛同されるとは限らない。
「現実には無理」とためらう者、
「もっと優先すべきことがある」と否定する者に、
松本先生は囲まれてる。
理想と現実、医療にかぎらずどこにでもある根深い葛藤ですね。
多くの場合、この葛藤を抱えながら皆、現実をやり過ごしてる。
そこへ理想をドカンとぶつけて、広がる波紋と胸のすく展開を見せるのが、...
今期は医療ドラマが6作品も!なかでも異色中の異色といえるのが『病室で念仏を唱えないでください』。
医者であり僧侶でもある伊藤英明さん演じる主人公が、救命センターの仲間とともに、患者の命と心を救うため、悩み、葛藤し、成長する日々が描かれている。
松本照円が空回りしながらも、医師として“命”を、僧侶として“心”を救おうと奮闘する…このドラマによって、「人を救うのは医療だけではない」と気づかされる。
『海猿』シリーズの大ファンとしては、海難救助の最前線で命を救う仙崎大輔の熱い男とリンクして、また海猿シリーズが観たくなってしまった。
特に松本がプールで泳ぐシーンは勝手に胸熱!...
唐田えりか様の見納めだと思ったら…。もうカットされ、ロールにも出ていないし、公式HPの相関図からも削除されていた。早すぎる!対応…。東出くんの方は、主役だからどうしようもないからって続行なのに…。どうでもいい脇役は速攻でカット。…なんだかなー、悲しい。もちろん不倫は良くないけど。ほかにも不倫して堂々と出てる人一杯いるけどね。なんか、世間が叩きすぎてるところが嫌だ。
…と、気を取り直して、
このドラマは、まあまあ医者モノとしては楽しいし、役者は伊藤英明をはじめいいカンジでそろってるし、特に中谷美紀が凄い存在感と味を出してるので、楽しく見られてますね。
「目の前の患者見なさいよ 過去じゃなくて」
中谷美紀さんのこのセリフに象徴される巻.
子ども時代に川で友人を亡くした主人公・松本.
そのトラウマな状況と似た少年が救急搬送されてくる.
自身の過去に囚われてマインドが揺らぐ松本だったが、
事故の原因を作った少年に自分を重ねながら、危機を乗り越える.
他方で、第一話で敷かれた濱田(ムロツヨシ)との伏線が、
オペ室での小競り合いとなって表面化.
救命がヒューマンな治療姿勢でいられるのは、
心臓外科の効率的な稼ぎで成立してる、と蔑まれる.
この考え方にもまた「目の前の患者を見よ」という冒頭のセリフが
かぶさっ...
タイトルに惹かれて第一話を視聴.
「念仏=死」というイメージを病院にもちこむな!
的な構図がタイトルから読み取れるわけだけど、
実際にお坊さんが救命医という設定.
伊藤英明さん扮する主人公・松本は、
中学時代は水泳で全国優勝経験がある元アスリート.
そのうえで医師+僧侶という、肉体・知性・意志・精神性と、
スペック的には完璧キャラ.
ところが実際にはエロ本好きで肉食の生臭坊主で、
精神的にも揺れ動く煩悩の塊.
要するに全く解脱できていなくて、スペックから
連想されるようなオラオラ系ではない.
そんな人物が、生と死が交錯する病院の中で、
悩みな...