【SYO(映画ライター)さんの視聴ドラマの口コミ・感想・評価一覧】

  • シャーロック シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    どうしてこんなに面白い?

    海外ドラマのオスズメは?と聞かれたときに、真っ先に挙げてしまう作品がある。『SHERLOCK』だ。でも、自分はなぜこの作品に惹かれるのだろう? ちょっと考えてみたい。

    ①めちゃくちゃ面白い...
    続きを読む 海外ドラマのオスズメは?と聞かれたときに、真っ先に挙げてしまう作品がある。『SHERLOCK』だ。でも、自分はなぜこの作品に惹かれるのだろう? ちょっと考えてみたい。

    ①めちゃくちゃ面白いから

    元も子もない理由だが、やっぱり外せない。面白くなければ、他者には薦められない。じゃあどこがおもしろいのかと言われたら、まずは「シャーロック・ホームズの物語を現代アレンジしているところ」だろうか。

    自分は『シャーロック・ホームズ』が小さいころから好きで、全部読んでいる。そういう人間にとっては、原作の細かい部分まで抽出して、現代に置き換えて、しかも新しい発見をさせてくれる作品というのは歓喜でしかない。しかし、シャーロック・ホームズを知らない方にも勧めたいと思うのはなぜだろうか。それはきっと、単純に推理ものとして抜群に面白いからだ。

    1話完結で90分。ちょっと短い映画の感覚で、奇妙な事件をシャーロックが解決する。基本はこのつくり。しかし、事件の内容が奇抜で、ついつい気になってしまう。そしてシャーロックのキャラが立っており、ストーリーにひねりが効いていて、見せ方が面白く、何より没頭できる。それは数々の要素が練られているハイクオリティな作品だからこそだし、この作品によって日本国内の海外ドラマの印象が大きく変わったといってもいい。これまで海外ドラマに縁遠かった人たちが、一気に流れ込んできたからだ。それはやはり、面白さが故だと思う。

    ②見せ方の斬新性

    ストーリーの面白さはもちろん、この作品にしかないのはやはり、見せ方の独自性。つまり、映像表現だ。

    シャーロックの部屋から、推理がスタートすると一気に現場へと移動。部屋が事件現場に変わる、という演出や、早送りとスロー再生、ダイナミックなカメラワークで「現場」と「部屋」をシームレスにつないだり、画面上にメールの文面が出てくる演出も当時は斬新だった(スワイプで消す動きも)。スマホやネットの使い方も効いている(こういったデバイスを駆使した推理物は、ありそうでなかった)

    話の展開も相当早い。こっちがかなり必死についていかないといけないスピードなのに、映像表現がスタイリッシュで目を引くから、疲れたり飽きてしまうことがない。この辺りも『SHERLOCK』の重要な側面だ。

    ものすごくざっと考えると、まずはこの2つだろうか。実際は役者陣のすばらしさや90分の構成のうまさなど無限にあるのだけれど、またゆっくり時間を取って考えてゆきたい。
  • アンダー・ザ・ドーム シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    コロナ禍のなかで観るとぞっとする

    新型コロナウイルスの影響で、見え方が全く違ってしまった作品は多くあると思う。僕にとっては、『アンダー・ザ・ドーム』がその一つだ。約10年前のドラマだけど、今観るとぞっとするリアリティが付加されて... 続きを読む 新型コロナウイルスの影響で、見え方が全く違ってしまった作品は多くあると思う。僕にとっては、『アンダー・ザ・ドーム』がその一つだ。約10年前のドラマだけど、今観るとぞっとするリアリティが付加されてしまった。

    スティーブン・キングが原作を務めたこのドラマは、至ってシンプルなアイデア。「田舎町が突如、巨大な透明のドームに覆われる」、ただそれだけだ。しかし、外界と完全に隔離されてしまったその町では、混乱が渦巻き、裏切りや衝突が勃発(めっちゃドロドロの人間ドラマが展開する)。ドームの謎を探るミステリーも相まって、要素を絞った作品なのに毎話飽きることがない。

    本作のメインのストーリーは、外界と遮断されたことで人間が変貌していくこと。他者を支配しようとする奴が出てきたり、逆に安心する奴が出てきたり、或いは恋人や家族と会えなくなってしまい、生活が荒んでいくものも……。その逆に、絆が芽生えるパターンももちろんある。日常が改変されたとき、秩序は崩れ去り、無法地帯になる……。特殊能力を持った人間がいなくても、平穏なんていくらでも変わってしまうのだ、という恐怖をまざまざと感じさせる。

    そしてこの状況、つまり外界と遮断された世界、というのは、緊急事態宣言が敷かれた3ヶ月間、僕たちが実際に過ごしていた日常でもある。今、少しずつ日常が戻ってきて、外に出られるようになった。とはいえ、まだ状況は大きく好転してはおらず、僕たちの中にあの期間のしんどい記憶はまだ鮮明に残っていることと思う。

    このドラマの中では、ドームは可視化されている。外に出られないという絶望はありつつも、安全に過ごせる範囲というのは明確だ。対して、今僕たちが過ごす日常は、どこまでが安全なのかが、全く分からない。家から出なくても、不安は消えない。そういった意味で、『アンダー・ザ・ドーム』よりも恐ろしい世界にいるのかもしれない、と考えるとかなり恐怖だ。
  • リモートドラマ Living

    3.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    実験精神満載の新味ドラマ

    名脚本家・坂元裕二。最近のドラマを挙げても『最高の離婚』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『カルテット』などなど…素晴らしい作品を多数手がけてきた。鋭い人間観察、心に刺さるセリフ、コ... 続きを読む 名脚本家・坂元裕二。最近のドラマを挙げても『最高の離婚』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『カルテット』などなど…素晴らしい作品を多数手がけてきた。鋭い人間観察、心に刺さるセリフ、コメディでもサスペンスでも関係なしの手腕……。彼が紡ぐ言葉の数々に、多くの人々が魅了されてきたことだろう。

    その坂元が、リモートドラマに脚本を書きおろしたという。しかも広瀬アリス・すず姉妹、永山瑛太・絢斗兄弟が出演するということで、大いに話題となった。しかし、その内容は、予想と全く違っていた。とくにジャンル。SF寄りのファンタジーである。

    脚本家(阿部サダヲ)は、彼だけに見える(?)ドングリとの会話の中で、脚本へのインスピレーションを見出し、執筆にとりかかる。そうして紡がれた物語を、広瀬姉妹や永山兄弟が演じるというわけだ。一種のメタ構造というか、劇中劇の体制をとっている。最近の坂元作品を観慣れた視聴者にとっては、驚きだったのではないか。

    第1話は、広瀬姉妹が出演。ネアンデルタール人の末裔である姉妹が、ホモサピエンスとの付き合いについてあーだこーだやりとりする……という内容だ。何それぶっ飛んでる。マイノリティ側の人間がマジョリティ側の人間に対してやいやい言ったり、それでも好きになったら関係ないよね、という“らしさ”が描かれたりと、坂元作品ならではの味はあれど、かなり実験的だ。

    第2話は、永山兄弟が出演。こちらは、ちょっと変わった兄弟のお話。近未来の日本で、「過去に流行した料理」を再現する仕事を行う2人が、だべりながらコロッケを作ったり、美人なマンションの管理人さんの話で盛り上がる。こちらも、設定が高度なため、観客がついていくのは大変そう。大衆性よりも作家性が前面に押し出された作品だ。

    全4話中、第1話と第2話を視聴したが、放送時間の中だけでは咀嚼しきれない濃ゆい内容に、正直面くらったままだった。しかしそれは同時に、坂元裕二の新たな才能を発見する場にもなったといえよう。

    この時期に、この座組で新たなジャンルに挑戦したチャレンジ精神。これこそが、表現者たるゆえんなのかもしれない。新型コロナウイルスによる外出自粛、その中で「守り」に入っていないか――。そんな警鐘に、襟を正されたような気がした。
  • THE HEAD 第1話

    3.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    南極という密室を効果的に活用

    山下智久さんが、海外のキャスト・スタッフと作り上げた密室サスペンス。第1話を観たので、簡単な感想を。

    舞台は、なんと南極。科学研究基地で、冬期の6ヶ月間滞在していた研究員10人。夏期と冬期...
    続きを読む 山下智久さんが、海外のキャスト・スタッフと作り上げた密室サスペンス。第1話を観たので、簡単な感想を。

    舞台は、なんと南極。科学研究基地で、冬期の6ヶ月間滞在していた研究員10人。夏期と冬期で交代していくシステムだったが、冬期メンバーとの連絡があるときから途絶える。心配になった研究チームは、様子を見に基地へと出向くのだが……。

    まず、設定が面白い。密室劇は人気のジャンルで、ミステリーにしろホラーにしろサスペンスにしろ、観る側の緊迫感を高めてくれる。シチュエーションが限定されることで行動に制限が生じ、観る側もぞくぞくするというわけだ。

    そして、こういう系の作品は往々にして「外部に助けを求める」ことが突破口になったりするのだけど、南極となるとそれは望めない。つまり、密室というのが建物の中だけでなく、空間全体に広がっているのだ。仮に無線や何かで外部と連絡できたとしても、すぐには動けないだろう。映画『南極料理人』なんかを観ているとほんわかするが、確かに「何か起こったらヤバい」環境ではある。ただ、同時に外的な要因で危機が起こることも少ない。となると、疑うべきは“人”である……。

    そしてこの作品、構造もかなり興味深い。というのも、物語は10人が南極に残るシーンの後は一気に6ヶ月後へと飛び、駆けつけた人々が7人の遺体を発見するシーンにつながる。残り2人は行方不明、1人は錯乱状態で話もままならない。一体、何が起こったのか?が、順を追って明かされていくという設計なのだ。これは単純に「気になる……」とそそられるだろう。

    しかも、基地には銃痕が残されていて、雪上車は焼け焦げていた。7体の遺体のうち、1つは焼け焦げていたのだ。南極で焼死? しかも銃痕ってどういうこと?と登場人物も観客も真相が気にかかる作り方や、主人公の妻が行方不明者のうち1人だという設定も上手い。妻は加害者なのか、それとも被害者なのか……という不安が、常に渦巻いているから緊迫感が続いていくのだ。

    1話の時点で、10人のキャラ紹介→ほぼ全滅という事態に、山下さん目当てで観始めた方は大いにショックを受けるかもしれないが、とはいえ今後描かれる「彼に何が起こったのか?」を追っていくストーリーというのは、それはそれで非常に没頭できるのではないだろうか。

    疑心暗鬼が生じ、10人のメンバーに亀裂が入っていく……という流れは、役者の演技力の見せ所。これからの活躍ぶりに、期待したい。
  • 私の"初めて"日記

    4.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    Netflixの「型」が丸わかり

    個人的に、Netflixのオリジナルドラマにはいくつかの「型」があると感じている。そのうちの1つが「マイノリティを根アカなテンションで描く」だと思う。特に青春モノでこの傾向が強い。『このサイテー... 続きを読む 個人的に、Netflixのオリジナルドラマにはいくつかの「型」があると感じている。そのうちの1つが「マイノリティを根アカなテンションで描く」だと思う。特に青春モノでこの傾向が強い。『このサイテーな世界の終わり』も『セックス・エデュケーション』も『YOU』も『ノット・オーケー』もみんなそう。このカラーはNetflix特有のものとして、今後も続いていきそうだ。

    その最前線といえるのが、この『私の"初めて"日記』だ。インド系の女子高生をヒロインにした本作は、「父の死&精神的な影響による車いす生活」から復帰した彼女が、イケてる女子になって彼氏を作ろうとするお話。前提条件がわりと壮絶なのだが、Netflixならではのテンションでポップに描く。ナレーションがジョーク交じりに語り、サクサク進めていくことで笑いに変える、という演出が大きい(ここもNetflix節)。

    ヒロインの女子は精神的にちょっと不安定で、いわゆる「怒りが抑えられない」クチ。むしゃくしゃすると物を投げてしまったり、絶叫したり……。さらに、インド系アメリカ人であるという「マイノリティ=少数派」が、この作品のキーポイントになっている。Netflixは今人気の『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』然り、ダイバーシティに積極的だ。人種的ルーツがアメリカ人以外の人物を主人公に据え、多様性を描く。

    この作品で面白いのは、メインの舞台となる学校のクラスが「多国籍」であるということ。ユダヤ人にインド人、メキシコ人、中国人など……こういった設定は、確かに今まではなかったかもしれない。むしろ、これまでこういった部分が描かれてなかったこと自体が一つの問題ともいえよう。そして、Netflixがマイノリティ描写を「売り」にすることは、まだまだ真の意味でのダイバーシティは時間がかかりそうだな、という気にもさせられる。

    とはいえ、本作はザッツNetflixドラマとして非常に見やすく、インド系ならではのジレンマも描かれ、等身大の青春ドラマとして質が高い。一つの作品としても、Netflixオリジナル作品の「型」を観る意味でも、意義深い作品だ。
  • ジ・エディ

    4.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    『ラ・ラ・ランド』好きが観ると……


    日本でも圧倒的な人気を誇る『ラ・ラ・ランド』は、ライトな洋画ファンにも愛されている一作だ。華やかなミュージカルシーン、切ないラブストーリー、涙なしでは観られないラスト……。本作をきっかけに、...
    続きを読む
    日本でも圧倒的な人気を誇る『ラ・ラ・ランド』は、ライトな洋画ファンにも愛されている一作だ。華やかなミュージカルシーン、切ないラブストーリー、涙なしでは観られないラスト……。本作をきっかけに、洋画にハマった方も多いだろう。

    『ラ・ラ・ランド』を手掛けたのは、若手監督デイミアン・チャゼル。音楽への造詣が深く、かつてはジャズミュージシャンを目指していた彼の作品は、音楽学校に入った青年と教師の対決を描く『セッション』、宇宙飛行士の実話『ファーストマン』など、音へのこだわりが強く感じられる。

    そして今年、彼の新作がNetflixで公開された。ジャズクラブのオーナーを主人公に据えた『ジ・エディ』だ。ジャズクラブのオーナーといえば、『ラ・ラ・ランド』のセブが憧れていたポジション。そういった意味でも、『ラ・ラ・ランド』ファンにはうれしい設定ではないだろうか。

    が、しかし、『ラ・ラ・ランド』ファンの目線でこの作品を観ると、結構グサッとやられるだろう。というのもこの『ジ・エディ』、序盤からずっとしんどい展開が続くからだ。カッコいい演奏シーンで始まったかと思いきや、カメラが妙にズームしたり手ぶれする。そのぶん臨場感はあるのだが、執拗にミュージシャンや歌い手に近いカットで、やや困惑させられるのではないだろうか。その後「今日の演奏は最低だった」という愚痴、バンド間の確執、借金取りの登場にある事件が勃発したりと、言ってしまえば、暗い展開が続く。華やかな舞台の「裏側」を延々と見せられるのだ。

    チャゼル監督の作品に共通するのは、独りよがりで他者に攻撃的なキャラクターだが、『ジ・エディ』ではこの部分もエスカレート。アメリカで成功をおさめ、ある過去の出来事でパリに移り住んだ主人公は、敵ばかりを作る人間で、周囲から「めんどくさい奴」認定されている。視聴者からも、共感を呼ぶキャラクターではないだろう。『ラ・ラ・ランド』好きから見ても、「ジャズクラブの経営ってしんどいんだよ」「有名ピアニストの本性ってこうだよ」というものばかりを見せられて、「これは自己否定なの……?」となるかもしれない。『ラ・ラ・ランド』を好きであればあるほど、共通点を全否定してくる要素が、少々突き刺さるのではないか。そしてこれは、無意識とは思えない。

    つまりこの作品は、ある意味で「ミアに会えなかったセブ」を描いているともいえる。もしくは、「ミアを愛せなかったセブ」と言い換えてもいい。そう思って冒頭から見返すと、なんとも切ない気持ちになるから不思議だ。
  • 鈴木先生

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    人気俳優が生徒役で勢ぞろい

    最近、役者さんの初期作を調べる機会が増えている。今を時めく人気俳優の若かりし頃を観ると「ほんとだ、出てた!」となる機会が多くて面白い。

    2011年のテレビドラマ『鈴木先生』は、作品としても...
    続きを読む 最近、役者さんの初期作を調べる機会が増えている。今を時めく人気俳優の若かりし頃を観ると「ほんとだ、出てた!」となる機会が多くて面白い。

    2011年のテレビドラマ『鈴木先生』は、作品としても面白いけど、生徒役で土屋太鳳さん、北村匠海さん、松岡茉優さんが共演していて、それぞれの初々しい演技を観られる。みんな結構大事なポジションを務めていて、そして今観ても雰囲気があるし演技がお上手。

    『鈴木先生』がどういうドラマかというと、ある中学校を舞台に、主人公の教師(長谷川博己さん)がいろいろな問題に直面していく、というお話。生徒が起こした性問題やいじめ、問題行動などなど……。とはいってもシリアスになりすぎず、鈴木先生の脳内妄想が文字になって画面に表示されたり、面白い演出やコミカルな要素も多くて非常に見やすい。元々、このドラマがブレイクして、長谷川博己さんや土屋太鳳ちゃんの知名度がぐっと上がったという位置づけなのだ。

    土屋太鳳さんが演じるのは、大人びた雰囲気を持つ美少女。鈴木先生は彼女のことが気になってしまい、脳内で「おやおや」という妄想をするようになったり……。という役どころなのだけど、抜群の雰囲気で演じ切っている。しっかりヒロインを任されていて、しかも存在感が抜群で、現在の活躍を観ても納得。

    北村匠海さんが演じるのは、問題を起こしてしまう優等生。まず単純にかわいい。第一印象が「かわいいな!」になると思うくらいかわいい。でも演技はこの時点で完成されていて、観た人は「この子役は誰だ?」ってなるだろうな……というのが容易に想像できる。

    松岡茉優さんが演じるのは、困った子がいると率先して助けに行くような正直な女生徒。このドラマは教卓からの景色が多いのだけれど、毎回しっかり映っている。そして、表情が豊かなのでついつい目が行く。リーダー的キャラにくっついていくけど本心はちょっとずれていて……というキャラクターは、『桐島、部活やめるってよ』にも続いていく絶妙な立ち位置だ。

    人気俳優の初期作を観られると、見方が変わるというか、歴史を感じられてすごく面白いなと思う。
    Amazon Primeなどで観られるので、ご興味があればどうぞ。
  • 見せかけの日々

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    これが本当に実話なのか…


    「ザ!世界仰天ニュース」をご存じだろうか。世界で起こった衝撃的な事件を再現ドラマ仕立てで紹介するものなのだけど、自分と同じ「人間」に属するのに、想像だにしない恐ろしいことをやってのける者たち...
    続きを読む
    「ザ!世界仰天ニュース」をご存じだろうか。世界で起こった衝撃的な事件を再現ドラマ仕立てで紹介するものなのだけど、自分と同じ「人間」に属するのに、想像だにしない恐ろしいことをやってのける者たちを観て、ぞっとさせられる。

    Apple TV+の『見せかけの日々』は、まさにそんな感じだ。アメリカを震撼させた事件をドラマ化したサスペンス。メインの登場人物は、ある親子。娘に惜しみない愛情を注ぐ母親と、難病に侵されながらも懸命に生きる娘。慈善団体に建ててもらった家に引っ越してきた彼女たちの身に起こった驚くべき事件を、「現在」と「過去」を行き来する形式で描いていく。

    本作で暴き出されるのは、人間の裏の顔だ。絵に描いたような善良な母娘は、本当に額面通りの「いい人」なのか? 物語を追っていくうちに、2人の仮面がどんどんはがれていき、どんどん恐ろしくなっていくことだろう。「信じる」ことの脆弱性……私たちは何をよりどころに他者を判断すればいいのか? 疑心暗鬼になってしまいそうな強烈な展開が待ち受けている。

    物語は冒頭から「母が惨殺される」「娘が失踪する」といったビッグサプライズを提示し、「なぜそうなったのか?」を順を追って紐解いていく。このつくりもなかなかにショッキングで、家に踏み込んだ刑事がベッドのシーツをめくると、そこにはめった刺しにされた母の死体が……。メインキャラの1人が死亡し、もう1人は行方不明。いわば主人公不在の状態で展開していくのだ。ものの5分も観れば、続きが気になってしまうに違いない。

    過去シーンで描かれる、母と娘の関係性も考えさせられる。ネタばれは伏せるが、間違いなく健全な親子関係ではない。だがそれでも2人は親子の血でつながっている。このあたりのえぐみも、ディープでシリアスな作品を観たい方にはハマるのではないだろうか。

    演技も凄ければ、物語も強烈。そして何より、これが「実話」だということに戦慄させられる。クオリティは十二分。ご興味のある方は、ぜひ試してみてほしい。
  • ノット・オーケー シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    超能力少女の叫びが、ストレス発散に

    コロナコロナコロナ……時々、発狂しそうになりませんか?
    今は家にいるべきとき。それは分かっているんだけど、それでも「キー!!!!!」って叫びたくなる時がある。

    そういう衝動を具現化してく...
    続きを読む コロナコロナコロナ……時々、発狂しそうになりませんか?
    今は家にいるべきとき。それは分かっているんだけど、それでも「キー!!!!!」って叫びたくなる時がある。

    そういう衝動を具現化してくれたのが、この『ノット・オーケー』ではないだろうか。ざっくりしたあらすじを言うと、超能力が宿ってしまった思春期真っ盛りの少女の話。ラノベや漫画、アニメっぽくない?って思っちゃうかもしれないしそういう要素はあるんだけど、本作はもう少しダウナーな感じだ。

    彼女は超能力を操れるわけでもなければ、自制もできない。抑えきれない怒りや羞恥、リビドーが暴発して周りのものが吹き飛んだり、浮遊したりしてしまう。家で飼っていたペットを●してしまったり…割と悲惨。その空気感が、「陰キャ」だった(いや、現在進行形か)僕にとっては非常に心地が良い。同情はするんだけど、「この子も孤独なんだ」と思えることが安心感につながるというか。

    そもそも「超能力って別にありがたくもなんともない」という悲しみが斬新で面白いし、「めっちゃええやん!」って騒ぐ男子との距離感というかも絶妙。

    そして、冒頭に書いたように、結果はどうなるかはアレだけども、「衝動にしたがっていろんなものを吹き飛ばす」は(本人はかわいそうだけど)観ている人間にとっては結構すっきりする。ヒロインの女の子が「うあああああああ」ってなるシーン→何かが吹っ飛ぶ、ってのがいい。

    ストーリーも描写も面白いし、ちゃんと非リア充の気持ちを汲んでくれている。『ストレンジャー・シングス』との差別化もできている。サブカル感も強い。かなり面白いドラマであることは、間違いない。
  • ビカミング・ア・ゴッド

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    役作りがヤバい

    「キルスティン・ダンストだよな…?」、そんな声が漏れた。

    画面に映っている女性は、『スパイダーマン』のヒロインとはまるで違っていたからだ。

    役作りで体型を変化させる女優さんはもちろん...
    続きを読む 「キルスティン・ダンストだよな…?」、そんな声が漏れた。

    画面に映っている女性は、『スパイダーマン』のヒロインとはまるで違っていたからだ。

    役作りで体型を変化させる女優さんはもちろんいるけれど、彼女の豹変ぶりは相当ヤバい。これがどういう話とか、そういうことは置いておいてまず「役者ってとんでもない」ということをこの作品を観て、感じてみてほしい。1話だけでいい。充分すごさが伝わるから。

    彼女が本作で演じている役は、端的に言うとお金持ちになりたいけどなかなかなれない妻だ。夫はネットワークビジネスにハマっており、上流階級の仲間入りを目指すが、なかなか結果は出ない。そんな中、キルスティン・ダンスト演じる妻が、覚醒。2人の運命は大きく(そして急カーブをかけて)変動していく。

    ネットワークビジネスとはなんぞやという方は、ググったりTwitterで検索すれば、よからぬ噂がごまんと出てくると思う。仕事柄、(コロナ以前は)ファストフード店で執筆なんぞをよくしていたのだけれど、フ●ッシュ●スバーガーとかにはこの手の輩がごろごろしている。アレである。

    話ももちろん面白いが、キルスティン・ダンストの別人ぶりがやはりすごい。実は彼女はかなりアーティな映画にも出る方で、『マリー・アントワネット』とかのイメージも強いけど、『メランコリア』では鬱の花嫁とか強烈な役を進んで選んでいる。今回はジョージ・クルーニーも製作総指揮で参加していて、かなり社会性と作家性が強い。

    彼女が演じるくたびれたパートのおばちゃんぶりは、必見。すごいよ。
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