「なんだこれッ!? ンマイなぁぁあぁぁ―――ッ」、テレビの前で、そう叫んだ。
今年最後のお祭り企画としてとても楽しみにしていた『岸辺露伴は動かない』、大当たりである。第1話『富豪村』のオープニング時点で「ふるえるぞハート」状態に陥った僕は、エンドロールを眺めながら「燃えつきるほどヒート」な余韻をかみしめていた。
まず、自分は結構ガチな『ジョジョ』好きである。そのため、『ジョジョ』のスピンオフである『岸辺露伴は動かない』を実写化すると聞いた折には一瞬「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ」と思ったものだ。だがッ! 高橋一生さんのキー...
「なんだこれッ!? ンマイなぁぁあぁぁ―――ッ」、テレビの前で、そう叫んだ。
今年最後のお祭り企画としてとても楽しみにしていた『岸辺露伴は動かない』、大当たりである。第1話『富豪村』のオープニング時点で「ふるえるぞハート」状態に陥った僕は、エンドロールを眺めながら「燃えつきるほどヒート」な余韻をかみしめていた。
まず、自分は結構ガチな『ジョジョ』好きである。そのため、『ジョジョ』のスピンオフである『岸辺露伴は動かない』を実写化すると聞いた折には一瞬「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ」と思ったものだ。だがッ! 高橋一生さんのキービジュアルを見た僕は、あまりのハマり具合に「だから気に入った」と思い直し、「脚本家・小林靖子」の名前を見つけ「『ありがとう』…それしか言う言葉がみつからない…」と頭を垂れ、そしていまや「各スタッフ・キャストの皆様の命がけの行動ッ! ぼくは敬意を表するッ!」と言いたい。
本作が成功を収めた部分は、やはり総合力の高さにあるだろう。「テキスト」「ビジュアル」「パフォーマンス」の3本が、極めて高いレベルで、まさに「黄金の長方形」の比率のごとく成立している。
漫画の実写化で最も冷めるのは、「愛情の薄さ」だ。すでに絵として出来上がっている漫画という形態に生身を持ち込むのならば、暗闇の荒野に進むべき道を切り開く覚悟が必要だ。なんとなく原作のビジュアルに寄せましたどジャアアあああ~~~ンでは、本家に勝てるわけがない。生身の人間でやる“意味”が、あるかないか。その点において、『岸辺露伴は動かない』は完璧以上の解答を示した。露伴の衣装も、浮世離れはしているもののスタイリッシュで「カッコいい」と思わせるものだし、舞台も和洋折衷にすることで、ファンタジーとリアリティが混在するムードを醸し出している。現実の0.5上に位置する絶妙な浮遊感があるため、よく言われる「コスプレ感」がない。「実写版『岸辺露伴は動かない』」の世界観が説得力ある形で作られているため、観客がノイズを感じないのだ。
そこに、TVアニメ版『ジョジョの奇妙な冒険』の脚本家、小林氏による見事な「実写版への変換」を施されたセリフが加わることで、「●●じゃあないか」などのジョジョ語はきっちりと押さえつつ、初心者もついていける内容に。スタンドの説明を「天から授かった能力」にしていることで、すっと受け入れられる。ぜひ原作と比較していただきたいが、細かいセリフの言いかえに至るまで、超絶巧い。そこに途方もないほどの愛を感じるし、スリルを高めるための展開の変更から露伴という人物への理解度に至るまで、ディ・モールト(非常に)良い。てめーはおれを唸らせた……。
その上で、高橋一生氏である。冒頭から別人かと思えるほどの声の変えよう、首の角度から目の演技に至るまで……いやほんとに「感謝いたします」だ。たっぷり! 彼も大のジョジョファンだそうだが、さもありなんな演技だ。
第2夜からは、森山未來氏も登場。高ぶらずにはいられないッ!!!!!