コメディタッチで業界の裏側に切り込む『共演NG』。第3話が非常に興味深い内容だったので、簡単な感想を書く。
このエピソードのテーマは、不倫。「共演NGなキャストたちでドラマを作る」という設定だけでも斬新なのに、このご時世にこのネタを投入する攻め具合。流石だ。
ドラマ『殺したいほど愛してる』第1話が放送されたが、センセーショナルな記者会見と「大物俳優同士が25年ぶりに共演」をもってしても視聴率は6%と伸び悩み。「イマドキはみんな配信で観てるんじゃないですか。視聴率とか関係あります?」「テレビマンがそんなこと言うんじゃないよ」という先輩・後輩のやり取りが、世代間ギャップを感じさせて面白...
コメディタッチで業界の裏側に切り込む『共演NG』。第3話が非常に興味深い内容だったので、簡単な感想を書く。
このエピソードのテーマは、不倫。「共演NGなキャストたちでドラマを作る」という設定だけでも斬新なのに、このご時世にこのネタを投入する攻め具合。流石だ。
ドラマ『殺したいほど愛してる』第1話が放送されたが、センセーショナルな記者会見と「大物俳優同士が25年ぶりに共演」をもってしても視聴率は6%と伸び悩み。「イマドキはみんな配信で観てるんじゃないですか。視聴率とか関係あります?」「テレビマンがそんなこと言うんじゃないよ」という先輩・後輩のやり取りが、世代間ギャップを感じさせて面白い(ちなみに配信の再生回数も振るわず、スタッフは頭を抱える)。
そんななか、出演者同士の不倫スキャンダルが発生。プロデューサー陣は青ざめるが、番組のショーランナーはこう告げる。「これであなたたちが躍起になっている話題作りができますよ」と。このショーランナーのポジション(演じるのは斎藤工さん)が本作の大きな特徴で、監督や製作とは別の、製作総指揮的なポジションを招聘した、というつくりになっており、彼が言う「古臭いの、もうやめましょうよ」というセリフは、メタ的なメッセージとして、日本のテレビ界への警鐘として機能している。
不倫は世間では許されないこととして厳しく糾弾されるが、当人たちの問題であり、罪人のように扱われるのはどうなのだろう? ワイドショーなどでボロクソに叩き、社会から抹殺させようとするのは本当に正義なのか? こういった問いが、全編にいきわたっている。スポンサー問題もあり、本人たちを降板させるかどうかという話になるが、その際にショーランナーが言うのだ。「いつまでこんなことやってるんですか」と。
そのセリフは、その後に開かれた謝罪会見に同席した主人公のセリフにも生きてくる。芸能人にとってイメージは大切だし、不快に思う方もいることだろう。ただ、ここで言う「世間が許してくれない」とは何なのか? 本人たちの間でしっかり話し合い、解決するべきことではないのか。
結果的にこのスキャンダルによって注目度は増し、見逃し配信の視聴数が急増。直近加熱するスキャンダルへの糾弾に対し、ひとつのカウンターパンチを食らわせるようなエピソードとなった。余談だが、この「他人事でなぜそんなにみんな怒るのか?」は、結構思っている方は多いんじゃないだろうか。そういった意味でも、どこか胸がすくような思いがしたのである。