あまりのクオリティの高さに素数を数えて落ち着かなければならなくなった実写版『岸辺露伴は動かない』。第1話『富豪村』に続き第2話『くしゃがら』、第3話『D・N・A』も見事なクオリティでくしゃがら。
第2話に関しては、原作は漫画ではなく、北國ばらっど氏によるノベライズ版。つまり小説だ。壊れていく漫画家・志士十五を森山未來氏が「しゃべり」と「動き」を完璧以上に立体化させていて、「ナァナァナァナァナァナァナァ」と周りに喧伝したくなるほどに「スゴ味」があった(彼は過去にも荒木飛呂彦作品に出ていて、雰囲気が抜群に合う)。
さりげなく「まるで~みてーだぜ」というジョジョ独特の言い回しを入れていて(しかもそこにドヤ感がないので実にスムーズゥあこがれるゥ)、森山氏の全身から立ち上るジョジョ感には恐れ入った……
そして第3話『D・N・A』。これはもともと別冊マーガレットに出張掲載されたエピソードで、シリーズの中でも感動ドラマの要素が強い。荒木氏自身も「ハートフルなものになった」と回想している。
実写版では、そのエッセンスはしっかりとくみ取りつつ、さらにシビれるアレンジをきかせている。スタンドという言葉を使わずに、天からの授かりものである「ギフト」と言い換えることで、「“普通”や“治す”ってなんだ?」という主題をより強めている(スタンドというのは、自分から発現するものではなく特殊な矢に刺されることで選ばれた者だけが……という裏設定があり、そこを実写版では使っていない。この処理を施すことで、露伴も真央ちゃんに近い立場の人間として描くことができる。プラス、「スタンド使いはひかれあう」という原作の名ゼリフもカバーしていてディ・モールト、ベネ‼)。
冒頭に登場するサイコロは、原作漫画で露伴と主人公の仗助がサイコロ対決をする『ぼくは宇宙人』のエピソードを彷彿させてファン的には「感謝いたします」状態になるし、実写化=立体化する際に、忠実にするだけではなく原作愛をズキュゥゥゥゥンとぶち込んでくるこの感じ……小林靖子氏の脚本もさることながら、各セクションの方々のジョジョラーぶりが全話通してバリ高く(それでいてビギナーが「あァァァんまりだァァアァ」とならないように配慮を行き届かせたプロのお仕事!)、素晴らしかった。
中村倫也氏の起用も、原作を読んでいる人間からすると「きっといいヤツだろうな……」と思わせながらも、彼のファン的には「ワンチャン洗脳くんパターンありえるんじゃない?」と期待もさせるこの振り回しっぷり……だから気に入った!
(「静かに暮らしたい」とか言い出す可能性もあるんじゃないかそうなったら僕の心にシアーハートアタックだぜ「コッチヲ見ロッ!」とか言われたらクギ付けだぜという妄想を一人でしていたりした)
テンションがおかしくなったが、黄金の精神を感じさせる実写版だったと思う。本当に面白かったです。
すまし望希編続