『有村架純の撮休』が面白いらしい、と聞いて「観たいなぁ」と思いながら日々の雑務に追われ、時間が流れてしまっていた。そんな折、劇中よろしくふっと撮休的な時間が生まれ、観始めたわけだ。なるほど、噂にたがわず面白い。
是枝裕和監督・今泉力哉監督・横浜聡子監督といった実力派が、それぞれに違った有村架純さんの姿を描く本作。いわばマルチ有村架純バース的な物語。突然撮休がもらえた有村架純はどうするのか?というコンセプトで、全8話=8パターンの彼女の姿を映し出す。メタ的な要素を含んだ夢のフィクションだ。
実家に帰ったり、友達の家に泊まったり、はたまた寝て過ごしたり、瓶のふたが開かなかったりと、行動自...
『有村架純の撮休』が面白いらしい、と聞いて「観たいなぁ」と思いながら日々の雑務に追われ、時間が流れてしまっていた。そんな折、劇中よろしくふっと撮休的な時間が生まれ、観始めたわけだ。なるほど、噂にたがわず面白い。
是枝裕和監督・今泉力哉監督・横浜聡子監督といった実力派が、それぞれに違った有村架純さんの姿を描く本作。いわばマルチ有村架純バース的な物語。突然撮休がもらえた有村架純はどうするのか?というコンセプトで、全8話=8パターンの彼女の姿を映し出す。メタ的な要素を含んだ夢のフィクションだ。
実家に帰ったり、友達の家に泊まったり、はたまた寝て過ごしたり、瓶のふたが開かなかったりと、行動自体は日常に根差していて、観る側もスムーズに入っていける。有村架純さんの七変化を観られるところに面白さがあるのは事実だが、突拍子もないキャラクターというよりも、あくまでリアリティを大切にしているのも注目すべきポイントだ。どのエピソードを観ても「ありそう」とか「いるかも」と思える要素がちゃんと配置されている。
第1話では、母親(風吹ジュンさん)との絶妙な関係が、是枝監督らしい木漏れ日のような優しさで綴られる。第2話は、劇団ポツドールなど、幅広く活躍するペヤンヌマキさんが生み出す本音ダダ洩れの脚本に、今泉監督がファニーな魅力をプラス。伊藤沙莉さん、若葉竜也さんという配役も完璧だ。
第3話は『空気人形』を彷彿とさせる、色香漂うエピソード(笠松将さん、リリー・フランキーさん出演)で、第4話は『インセプション』のような夢の中に入っていく凝った構成(柳楽優弥さん出演)。WOWOWドラマという立て付けも素晴らしく、セリフ回しから雰囲気から、映画のテンポ感・質感に近い印象を覚える。贅沢な物語だ。
Netflixの『火花』がそうだったように、各話の監督を豪華なメンツでそろえるやり方はドラマならではの面白さだ。そして、1話完結、だけど主演は共通という本作のつくりは、有村架純さんの新たな魅力も発掘している。1度きりで終わらず、繰り返し観られるであろう、長く愛される作品になりそうだ。