横浜流星さんのファンとしては、申し分のない(というかありがとうございます)ドラマだ。
今回彼が演じるのは、ある壮絶な過去を抱えた大学生。心理学を専攻する傍ら、女流棋士を催眠で操り、世の中に蔓延る悪を退治する。
ただ、そこにあるのは真っ直ぐな正義感ではなく、「悪を完膚なきまでに破滅させる」という危うい意志。
横浜さんの出演作品の中で、自分はamazarashiのMVがとても好きで、彼にはダークな役柄をとことん突き詰めてほしいと密かに願っている。
そういった意味で、二面性が微妙な均衡を保っている今回の役は非常に見応えがある。キレッキレのアクションも盛り込まれており、「参謀タイ...
横浜流星さんのファンとしては、申し分のない(というかありがとうございます)ドラマだ。
今回彼が演じるのは、ある壮絶な過去を抱えた大学生。心理学を専攻する傍ら、女流棋士を催眠で操り、世の中に蔓延る悪を退治する。
ただ、そこにあるのは真っ直ぐな正義感ではなく、「悪を完膚なきまでに破滅させる」という危うい意志。
横浜さんの出演作品の中で、自分はamazarashiのMVがとても好きで、彼にはダークな役柄をとことん突き詰めてほしいと密かに願っている。
そういった意味で、二面性が微妙な均衡を保っている今回の役は非常に見応えがある。キレッキレのアクションも盛り込まれており、「参謀タイプに見えてめっちゃ強い」というまるで二次元のようなカッコ良さを見せつけてくれるからほんとにありがとうございます……という感じだ。
とはいえ、映画ライターとしては、本作が抱える「矛盾」が気にかかるところではある。
それはどこかというと、「コンセプト通りに白黒つけられるのか」という部分だ。
本作は「白でも黒でもないグレーゾーンに斬り込む」を謳っており、セクハラやコネ入学など、様々な問題を扱っている。
世に蔓延るスキャンダルを、自警団的なミスパンダ(彼女のモチーフは、『キック・アス』のヒットガールだろうか)が白日の元に晒す……という話(それを仕掛けるのが横浜流星さんの役)なのだが、この部分に今の視聴者はカタルシスを感じるのだろうか?という小さくない疑念がある。
まず、リアルであれば芸能人の不倫や政治家の汚職なんてニュースが毎日のように飛び交っている。そして、創作の世界でもヒーロー社会の欠陥を鋭く突いた過激な問題作『ザ・ボーイズ』など、AmazonやNetflixがどんどん攻めたオリジナル作品を生み出している。
刺激性という意味では、本作はまだまだ圧倒的に攻め足りない(横浜流星さんはとっても刺激的なのだけれど!)。
そもそもスポンサーがついていて、視聴者制限も強い地上波のテレビは、かなり分が悪い。スキャンダルを扱うドラマなんて大量にあるし(往々にして踏み込めないが)、その中で本作はどこまで攻められるのだろう? ミスパンダのように、法やルールをガン無視で信念を貫けるのだろうか。それとも、地上波の安パイなゾーンに止まってしまうのか。意地がかかっている気がしてならない。
「本当の意味で白黒つけられるのか?」……この問いに対する答えが、今後観られることを期待してやまない。