吉高由里子さんが好きだ。演技力はもちろん(日常動作が絶妙に上手い)、独特の柔らかな空気感がクセになる。とても可愛いのに、崩した表情をスッと見せてくれる。なので当然ながら彼女の新作『知らなくていいコト』をいそいそと観始めたのだが、第1話を観た正直な感想は「これは……何だ?」だった。
面白くない、とか吉高さんがどう、という話ではなく(安定して可愛い。「行かないで」って恋人の裾をつかむシーンが大いにキュンとする)、ストーリーというか目の付け所が「飛ばしてるなぁ!」という衝撃性の方が強い。まだ2話を視聴出来ていないのだけど、観ているこちらがうろたえてしまう初回ってなかなかないので新鮮だった。
ざっくりしたあらすじはこうだ。週刊誌でバリバリ働く女性記者のケイトは、病院に緊急搬送された母親から「あなたの父親は、キアヌ・リーヴス……」と謎の言葉を託される。母はそのまま死亡。彼女は、今まで知らなかった父親について調べ始めるのだが……。
いやなんでキアヌ!? 全く予想してなかったので、「なんでキアヌ!?」が頭にこだまするだけで初回が終わった……。しかもご丁寧に、「母親は著名な翻訳家」「ハリウッドスターととの親交も深い」「キアヌからラブレター(?)が届いている」「何なら2ショットの写真もある」などいくつも“伏線”が張られている。主人公の名前は名作『エデンの東』からとっている(そこはキアヌの出演作じゃないのか……余談だがエリア・カザン監督の映画版は素晴らしい)など、映画ネタもちょいちょい挟まる。
この「父親がキアヌかもしれない」という話はきっとネタなのだろうが、少なくとも初回を観た段階ではその必然性が見いだせず、「な、なんぞ……」となってしまった次第である。後半になると「実の父親だと思われる人物が●●●だった」というスキャンダルな展開にもつれ込んでいくのだが、キアヌの衝撃度が強すぎて「あ、うん……そうか」となってしまった。
多分それは自分が映画ライターがゆえとは思うのだが、「『マトリックス4』の制作が発表されたからかな?」とか「脚本家の方が好きなのかな?」とか「吉高さんの年齢から逆算してちょうど良いハリウッドスターがキアヌだったのか? いじっても許してくれそうだし」とかいろいろ邪推してしまって何が何だか……。
最終回までにキアヌは出演するのか? 気になってしょうがない。
(ちなみに、キアヌと同じく1964年生まれのハリウッドスターはニコラス・ケイジ、ラッセル・クロウ、サンドラ・ブロックなどなど。一つ上はブラッド・ピットだ)