個人的に、何年経っても大好きなドラマだ。ただし、人に勧めていいものかは悩む。誤解を恐れずに言えば、観て楽しくなったりウキウキするものではない。むしろその逆で、心底嫌な気持ちになる人もいれば、ぞっとする人もいるだろう。ただ、1つ確かなことは、クオリティがめちゃくちゃ高い。
それもそのはず、原作は湊かなえ、演出は黒沢清監督、出演は小泉今日子、蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴、香川照之。地上波のドラマではなかなか見られない映画畑のメンツが勢ぞろいしている。観るのに覚悟を要する作品ではあるが、そのぶんリターンも大きいのだ。
小泉扮する主人公の娘が、何者かに殺害されるシーンから物...
個人的に、何年経っても大好きなドラマだ。ただし、人に勧めていいものかは悩む。誤解を恐れずに言えば、観て楽しくなったりウキウキするものではない。むしろその逆で、心底嫌な気持ちになる人もいれば、ぞっとする人もいるだろう。ただ、1つ確かなことは、クオリティがめちゃくちゃ高い。
それもそのはず、原作は湊かなえ、演出は黒沢清監督、出演は小泉今日子、蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴、香川照之。地上波のドラマではなかなか見られない映画畑のメンツが勢ぞろいしている。観るのに覚悟を要する作品ではあるが、そのぶんリターンも大きいのだ。
小泉扮する主人公の娘が、何者かに殺害されるシーンから物語は幕を開ける。娘を殺した謎の男を見かけた友人4人は、主人公から「償いをしろ」と迫られるが、当時小学生だった彼女たちには何もできない。そして15年後、成長した4人それぞれに、恐るべき事件が起こる。全5話構成で、「主人公の娘を殺した犯人は?」という物語と、各話で蒼井優、小池栄子、安藤サクラ、池脇千鶴演じる4人の物語が並行して描かれていく。
第1話は、蒼井優がメイン。事件によって男性恐怖症となった紗英(蒼井)は、優しい御曹司(森山未來)と結ばれるが、彼には恐るべき“裏の顔”があり……。ネタバレを避けるため詳細は書かないが、森山未來の演技が非常に怖い。そしてラストが壮絶だ。黒沢監督のじわじわ攻め立てるホラー演出も秀逸。
第2話は、小池栄子がメイン。事件の際に何もできなかった無力感から自他に厳しく成長した真紀(小池)は小学校の教師になるが、ある日衝撃的な事件が起き……。「強くならなければならない」という一種の妄信状態に陥った小池の演技が、これまた怖い。
第3話は、安藤サクラがメイン。事件のトラウマで引きこもりになった晶子(安藤)の元に、兄の幸司(加瀬亮)が妻と娘を連れて帰ってきた。しかし、幸司の娘の接し方がどうにもおかしい。そして……。このエピソードは、がらんとした舞台設定含めて常に不穏。加瀬の演技も絶妙に不気味で、安藤の怪演も心にさざ波を立てる。
第4話は、池脇千鶴がメイン。事件の際、親身に接してくれた警官にあこがれを抱いた由佳(池脇)。その後彼女は、姉が警官と結婚したと聞き、嫉妬から姉の夫を誘惑するのだが……。このエピソードは、池脇の演技にぞっとさせられる。
そして最終話の5話へとつながっていくのだが、まぁ各話全部が強烈。ショッキングなシーンは控えめだが、観る者を不安にさせたり居心地を悪くさせたり、或いは生理的に追い詰めたりといった描写が続く。しかし悔しいことに、冒頭にも述べた通り見ごたえがすさまじく、いまだにちょいちょい見返してしまう。
もしご興味のある方は、怖いもの見たさ感覚でぜひ。