3.5
出演者 3.5
ストーリー 4.0
演技 3.5
映像 4.0
贖罪 第2話
事件で負った傷がどんな形で表れるかは、人それぞれ違う。
大人になることを拒み、人との関わりを極小化しようとした第一話の蒼井優。いっぽう第二話の小池栄子は、過去の事件とずっと対峙し続け、勝利することで乗り越えようとしている。
とはいえそれは意識的なものではなく、厳しい家庭で育てられたなかで無意識に身についた性向で、本人にも自覚がない。そこに今回のエピソードのせつなさがある、と感じた。
人が意識的になし得る行為とは、果たしてどれほどのものなのだろう。
過去のトラウマを引きずってしまう時、それは自分の意識ではどうにもならない。そしてその問題に対処する方法も、自分で選択しているように見えても、実はそれまでに身につけた対処法を無意識に選んでいたりする。とり得る選択肢が、あらかじめ無意識のうちに狭められている、と言ったほうがいいのか。
不審者を撃退した小池英子の過剰な激しさは、このような無意識に根ざしていた。それを自覚することで、事件の傷が一段癒える。
だがその自覚の表明によって、あの熱血教師の立場は、さらにどうでもいいものになってしまった。子どもたちを守った者と守らずに逃げた者、という対比すらもはやなされない、蚊帳の外で、たまたま職を終われた存在。やるせない。
そもそも熱血ぶっている教師の熱血は意識的なポーズでしかなく、底の浅いもの。小池先生のかかえるトラウマとの違いは雲泥で、奥行きの深さは比べるべくもない。文学の世界では、とかく熱血教師の立場はなくなりがちで、いろんなドラマで似たように冷遇されているのを見かける。