この最終回を、どう見れば良いだろう。
かつての上司・黒川に「戻ってこい」と言われ、会社に復帰したサクラ。彼は「無駄が多すぎる」会社に改革を起こすため、急先鋒としてサクラに期待をかける。そして告げる、「力を持て」と。
社内で力を持つ、というテーマは、『踊る大捜査線』や『恋におちたら〜僕の成功の秘密〜』などでも描かれてきた。縦割り社会の中で、権力至上主義にならなければ意見も通せないのだと。
サクラは黒川の「力」に憧れて不眠不休で働くようになるが、仕事に取り憑かれて周囲への気遣いがなくなる。部下を追い込み、同期の歩み寄りをはねつけ、修羅と化す。
だが、黒川がリストラを断行すると聞き、「自分を取り戻す」。彼女は「責任を取る」と退職願を出すが、黒川からは「そんな短絡的な、誰にでもできる解決策しか出せないのか」と一蹴される。彼女が最終的に選んだ道は……。
最終回のテーマは、試練続きだったサクラが「自分の強みを見つける」ことにあるだろう。
彼女が相対するのは、自分の理想を体現するラスボス。信念を曲げずに会社にコミットした「成功例」を前に、どうするのかが描かれる。
そのラスボスである黒川は、これまでの人生の中でも「出世欲がない」と同期に言われたり、のらりくらりとした人物として描かれてきた。彼が変わったのは、元々目をかけてきたサクラに感化されたからであり、サクラを新卒で引き入れたのが彼にせよ、黒川の野心に火をつけたのはサクラが要因だ。
この構造は非常に理にかなった、最終回にふさわしいものだ。同期の仲間の助けもあり、物語は大団円を迎える。
……のはずなのだが、全てを見終えたあと、モヤモヤした気持ちが拭えなかった。それは、結局スカッとする答えが提示されないこと、最後まで迷惑をかけ通しで終わるからだ。(仲間との絆が、物語の進行上しっかりと描けず、展開に合わせたフワフワしたものになってしまったのも原因だろう)
ただこれは、結局サクラが現実のシステム、会社という組織を変えられず、社会の歯車として生きていくしかない、という非常にリアルな(それでいて辛辣な)真理でもある。つまりサクラはスーパーヒーローでもなんでもなく、普通の人だったということ。そういった意味で、残酷ながらもリアルなラストだったと言えるのかもしれない。
「私には夢があります」と語る彼女の理想は、現実に打ち砕かれてどんどんと姿を変えてしまった。最早、原型があるかは分からない。ただそれでも人は生き、働き、より良い明日に向かって進まなければならない。
ほろ苦く、世知辛い最終回だった。