柴門ふみ原作北川悦吏子脚本という最強のタッグのドラマ。学園ものの青春ドラマの中で一番記憶に残っている素敵な作品です。いいドラマは登場人物ひとりひとりの心模様が繊細に描かれていて、独りよがりのストーリーじゃないから、心に残るんだと思います。
複雑な家庭環境で育ちどこか影があるのに、時折大胆な行動に出る、つかみどころのない掛居保役に筒井道隆。まっすぐではっきりとした明るい性格が魅力の園田なるみ役に石田ひかり。主役は二人ですが、取手治(木村拓哉)、東山 星香(鈴木杏樹)、松岡純一郎(西島秀俊)もとても存在感がありました。
なるみに片思いしている取手君はとても優しく情熱的で魅力的に見えて、落ち込んでいるなるみをバイクの後ろに乗せて走るシーンは、女子なら皆胸キュンしたでしょう。一度二人は結ばれますが、やはりなるみの心は掛居くんにあると気づき身を引く取手君。西島秀俊さんはこのドラマの役どころのためか、当時は地味な印象に見えたのですが、今や押しも押されぬ大スターです。
恋愛と友情と、それぞれの立場で複雑に絡み合って、葛藤や苦悩する、人物ひとりひとりの心の動きにも、とても引き込まれました。
星香となるみのお互いを思う心のふれあいが自然に描かれていたところも、気持ちが温かくなりました。松岡が死んだあと、なるみが星香の髪を結いながら、「いつでも髪を結ってあげるから」と言っていたシーンが心にジーンときました。「松岡は、なんで死ななあかんかった?」セリフがせつないです。
大学の校舎は立教大学で撮影されたようです。12月のクリスマス前までのドラマだったので、松岡がピアノを弾くシーンや、クリスマスを感じさせる服装だったり音楽だったりがあって、映像から伝わってくる雰囲気も、校舎と相まってとても素敵でした。クリスマス時期になると思い出す、大好きなドラマです。