この話には三人の落伍者が登場する。
- 甲斐に逆恨みするトラック運転手、
- 甲斐の音楽友達でもあるハイヤーの運転手、
- 借金取りに追われる磯村勇斗
この三者に対する甲斐の態度が、ひとつの価値観を描いている。
トラック運転手は落伍者である上に根性まで腐っていて、どうしようもない存在だ。甲斐は彼を完膚なきまでに屈服させる。
ハイヤーの運転手は自分を貫いたため音楽業界にいられなくなった。彼は収入の点では庶民だが、魂は尊い。甲斐は使用人である彼に対して敬語で話し、また、屈託無い笑顔を見せる。
何度同情しても更生しない磯村勇斗は、性根が腐りかけている。
甲斐...
この話には三人の落伍者が登場する。
- 甲斐に逆恨みするトラック運転手、
- 甲斐の音楽友達でもあるハイヤーの運転手、
- 借金取りに追われる磯村勇斗
この三者に対する甲斐の態度が、ひとつの価値観を描いている。
トラック運転手は落伍者である上に根性まで腐っていて、どうしようもない存在だ。甲斐は彼を完膚なきまでに屈服させる。
ハイヤーの運転手は自分を貫いたため音楽業界にいられなくなった。彼は収入の点では庶民だが、魂は尊い。甲斐は使用人である彼に対して敬語で話し、また、屈託無い笑顔を見せる。
何度同情しても更生しない磯村勇斗は、性根が腐りかけている。
甲斐は彼と距離をとるよう、鈴木に強く推奨する。それが磯村自身の魂を守ることにもなる、と信じている。
初見では
[全てをもつアッパークラス・甲斐」vs「性根まで腐った庶民]
という対立構図が際立っていたため、どう見たらいいのかよくわからなかったが、読み解いて見ると上のような構成が浮かんできて、なるほどと思えるところもあった。
当初わかりにくかったのは、甲斐を演じているのが織田裕二だからなのかも知れない、などとも思った。