たまたま「麒麟がくる」最終回の前に、昭和の時代劇映画を作ってきた重鎮たちのインタビューを交えたドキュメンタリーを見たんだけど、そこで「チャンバラは時代劇の醍醐味だし見せ場だけど、なぜチャンバラをするに至ったのかの物語をしっかり描いていないと時代劇とはいえない」というようなことをおっしゃっていた。
ただチャンバラをするだけでは、怖さもなく意味もなく、ただの見せ物の踊りになるだけだと。
そういった意味でいうと、この「麒麟がくる」は紛れもない時代劇だったんじゃないかと思えた。
殺陣や合戦のシーンは決して多くなかったけど、どれもこれも印象に残ってるなら、時代劇としてきっと正解だから。
キャスティングもまたよかった。
これはピッタリ!という人はもちろん、意外だなと思えた俳優さんたちいずれもすばらしい演技と存在感を見せてくれた。メインストーリーに絡んでくる人たちに違和感を覚えないというのは、ドラマを楽しむ上でかなり大きい。
衣装や色使いも、相変わらずNHK大河ドラマらしさが出ていてすばらしい。
賛否あった(まあ否のほうが多かったね)駒や東庵先生のオリジナルキャラクターだけど、これもドラマとしての仕上がりで見ると、うまく使っている。
彼らが相手をするのは、主に帝や将軍など高い立場にいる人たち。偉い人たちは気軽にその辺の人と話すこともはばかられるし、自分の気持ちを正直に伝えられる相手も限られてる。
となると、遊び相手や幼なじみのような気心が知れた彼らと話をすることで、「会話」として気持ちを引き出したり表現したりできる。
もし駒たちが相手していなければ、その辺はほぼナレーションベースで終わってただろう。独り言させるのもおかしいし。
だから彼らオリジナルキャラクターの主な役割は、狂言回しのようなものだった。ナレーションとのバランスを考えると、いてくれたほうがなにかとスムーズ。
そして最終回はこれまでの集大成のような出来で、ラストはすがすがしさすらある。もう1度最初から見たくなってしまうな。
各俳優さんたちの代表作となってほしいと思わず願ってしまう、すばらしい大河ドラマでした。