第1話が大変面白かった『あのコの夢を見たんです。』第3話が神回と聞いて、観てみた。このドラマは南海キャンディーズの山里亮太さんが原作で、主演が仲野太賀さん。毎エピソードヒロインが変わり、監督も女性クリエイターをそろえている。
第3話のヒロインは、森七菜さん。太賀さんとは、『この恋あたためますか』でも共演している。今回のお話は、クラスで「透明人間」扱いされているヤマ(太賀さん)が、「モテたい」という幼馴染の七菜(森さん)の願いに付き合う、というお話。
「悲劇のヒロインになります」と宣言した七菜は、呪われようとヤマを深夜の学校に引っ張って言ったり、風邪をひこうとかき氷を大量に食べたり……ふたりでさまざまなチャレンジを行うのだが、学校では「透明人間が七菜と付き合っている」と噂になり、陰口をたたかれてしまう……。
天真爛漫なヒロインを演じた森さんが抜群にハマっていて、百戦錬磨の演技派、太賀さんの受けの演技が実に的確。2人のリアルな掛け合いもクスクス笑わされてしまうほど息ピッタリで、見ていて歪さや引っ掛かりを感じるところがまるでない。
夜の校舎を手をつないで走るシーンは映画『モテキ』をほうふつとさせるし(音楽の入れ方が最高だ)、ヒロインを魅力的に撮り上げた松本花奈監督の手腕も見事だ(森さんがこんなに生き生きと楽しそうに演技しているのを観ると、それだけでほっこりする。それを引き出せたのは流石。「ヤマのそういうところ、大好き」という決めゼリフなのにさりげないのもいい)。ドラマでありつつ、ちょっとしたショートムービーのようなクラフト感が絶妙。
そして、「悲劇のヒロインはヤマ」という展開も上手い。七菜は悲劇のヒロインを救う、ヒーローだったというわけだ。空に手をかざすラストシーンも秀逸で、非常に良いものを観た。