テレビドラマ、という形態について、よく考える。というのも自分は長年「日本のテレビドラマしか観ません」という方々に対して「どうしたらもっと国内外の映画を観てくれるんだろう」と頭を悩ませてきたから。
だからこそテレビドラマに対しては、なかなか複雑な愛憎を感じながら観ている。ドラマも映画もアニメも、国内外関係なく観るし全部好きだけれど、国内ドラマの盛り上がりに対して、ある種の羨望があるのだ(これは、映画関係者は割とみんな思っていることなんじゃないかと思う)。
ただ、ドラマにはドラマの良さがあって、一つは「みんなの夢を叶えること」だと思う。例えばこの役者のこういう部分が観たい、このキャラのこういう部分が観たい……視聴者の妄想に対して、しっかり応えてくれる。それって実はすごいことで、ドラマという「3ヶ月かけて描く」形態だからこそできることだ。
そういう意味で、『この恋あたためますか』第6話は、百点満点の出来だったのではないかと思うわけです。中村倫也氏のハンモックでくつろぐ姿、コンビニの制服に身を包み、バイトする姿、浴衣姿、入浴シーン等々……詰め込まれておりました。あと、仏頂面からの無理矢理笑顔「お弁当あたためますか?」とか、コンビニバイトを始めて気持ちの変化を告白するときの照れた感じとか……中村氏と浅羽(元シャッチョサン)、どちらのファンから見ても眼福だったのではないかと思う。こうした視聴者サービスは、映画1本だとなかなかカバーしきれないから、改めてドラマの強みを学ばされた気持ちである。
このドラマは、出演者に映画メインの方々が多くて、余計に映画との演技の違いを考える機会が増えた。しかし、仲野太賀さんしかり石橋静河さんしかり、「こっちもできるのか!」と驚かされるので、映画好き的に面白い楽しみ方をできているし、ドラマ好きの方は、本作をきっかけに映画での彼らの活躍も観てほしいなと思ったりするのです。
例えば、仲野太賀さんなら現在公開中の『泣く子はいねぇが』はもちろん、来年公開の『すばらしき世界』『あの頃。』も傑作なので……。