社会的弱者だからといって犯罪に手を染めていいのか。
悪を制するためだからといって法を犯していいのか。
正義を貫くのは難しい。
自分の感情や欲望を抑え込んで正しさを選ばなければいけない。
そのためには自ら傷ついても構わないという覚悟がいる。
相棒、仲間、愛する人、さらには会ったこともない誰かのために
自己犠牲を厭わないという勇気がいる。
MIUが一貫して描いてきたのは、ここだと思う。
思えば、メロンパン号はアンパンマンのオマージュかもしれません。
アンパンマンが自分の顔を食べさせて
人々を救うヒーローであるように、
メロンパン号の二人は自分の心を犠牲にして
救いに飢えた人々へと手を差し伸べてきたのではないかと。
アンパンマンの作者やなせたかしさんは
著書『私が正義について語るなら』の中でこう話しています。
「正義を行う人は非常に強い人かというと、そうではないんですね。
我々と同じ弱い人間なんです。」
これは10話で伊吹が言った
「正義ってすんげえ弱いのかもしれねえな。
大切にしてみんなで応援しないと消えてしまうのかもしれないな。」
という考えと重なります。
弱いからこそ、弱い人の気持ちが分かる。
仲間と力を合わせることの大切さを知っている。
ヒーローは特別な人じゃない。
ほんの少しの勇気があれば、誰だってヒーローになれるんだと。
♪アンパンマンは君さ 勇気を出して
君は やさしいヒーローさ♪
(アンパンマンたいそう より)
久住が言うように神様のほうが残酷だ。
災害といい、コロナといい、
人ではない、心のない存在ほど怖いものはない。
クズ、ゴミ、トラッシュを名乗って
人の心に毒を盛り続けてきた“バイキンマン”久住だけど、
逮捕されて志摩に血を拭われた一瞬だけ
人間らしい瞳を返した。(菅田将暉、圧巻の演技!)
志摩と伊吹にだけは黙秘せず、
「俺はお前たちの物語にはならない」と話したのは
言葉と裏腹に心を見せた証だと感じました。
さて、おまけ。
東京湾マリーナの「G11」とは何か?考察してみました。
まず、Gは一文字でGangstaを指すスラング。
社会の底辺層に位置し、麻薬売買など違法行為で生活している人のこと。
悪人、悪友(ダチ)を表す。
腹心の外国人と共有していた船だからこれが有力。
クズミ、ゴミ、トラッシュの通名から、
あの虫のことを兼ねているかもしれない。
11はアニメ・コードギアスのエリア11=日本であることから、
ネットスラングで日本人のこと。
あるいは2011.311かもしれないし、
アメリカ同時多発テロの911かもしれない。
野木さんのことだから何の意味もなく、
「お前たちの物語にはならない」のが正解な気もしますが。笑