




ついに終わってしまいましたね。
めっちゃロスになるかと思いきや、個人的には色々と周到すぎて意外とスッキリと鑑賞を終えられました。
ただ、やはり来週から『MIU404』が観られないのは寂しい。
それだけおもしろかったし、毎週楽しみにしていたドラマでした。
SNSを眺めているとこのドラマに対しての視聴者の熱が物凄く感じられて、まだまだドラマの可能性を強く感じられることができたのもよかった。
最終回は15分拡大と言えど、あそこまで完璧に、かつ綺麗に終わらせられるとは思ってなく、今回も期待を超えられました。
最終回を観て、いくつか書き残したいことができたので書きます。
・黒幕としての久住の描かれ方
まずは久住(黒幕)の描かれ方について、野木亜紀子さんらしさというか、新しさを感じたので、そこに触れたい。
今回久住に関しては掴みどころがなく、血が通っている人間らしさがあまり感じられなかった。
大体このような犯人が描かれるときは、何か大きな動機があったり、加害者なりの正義や野望があって、そこに対してまたメッセージや共感性を感じることができて、それが作品の中の描きたかったことにも繋がるものが多い。
もしくはサイコパスとして描かれるものもよく見る。
でも久住の場合はそのどちらでもないように思えた。
彼には知性もあって、世渡りが上手な一面もあって、生きることに困りそうな要素がなかった。
久住の裏側については全く描かれなかったので、結局動機もわからずに終わった。
ただし、彼の「お前たちの物語にならない」に彼の生き様というか本質、はたまた何でも人間が考えられる枠(動機や過去、背景による歪みなど)にハマらないこともあるという世の中の真意が詰まっていた感じがした。
何でもかんでも自分の解釈で誰かの物語を自分の物語にするなと言われているようだった。
そして、久住は孤高であり続け、常に自分と同じ目線に人間を置かないことで、自分が恩恵を受けて、自分を律することができていた。
世の中には搾取する側の人間もいれば、搾取される側の人間もいる。
搾取される側は騙されていると感じない。むしろ感謝されることもある。
そういう関係を保ち続けるために、彼は本当の意味でわかり合える存在がいなくなっていたのかもしれない。
ちゃんと考えて行動を取捨選択しなければ、搾取される側になることもあり、今の世の中では国全体でそうなる可能性も秘めている。
他人事ではないと感じた。
久住にも同じ目線で会話することができる人(伊吹や志摩などの四機捜の人たち)との出会いがあれば、もっと人間らしく生きられたのかもしれない。
久住が伊吹と志摩を殺さなかったのは、本当に(同じ目線としての)仲間になりたかったからじゃないだろうか。
そんな気がしてならなかった。
・搾取する側への警告
先ほど久住は搾取する側の人間であり続けるために孤高であり続けたことを示したが、最終回では搾取する側への警告を示唆する内容となっていた。
それを感じたのが、ドラッグにより搾取し続けた人たちに自分が撒いた種が原因で、逮捕される直前に助けを求めることができなかったあのシーンだ。
あれだけ綺麗に自業自得を見せられるものは他にないと思う。
やってしまった悪事は最後には自分に返ってくる。
それが搾取している側への警告と感じられた。
・夢オチの使い方のうまさ
もう一つ触れておきたいのが、使い古された夢オチが物凄くうまく作用していたこと。
全然夢に思えないほど、リアルに感じられ、その夢オチによって今まで語られてきた「選択」と「そうなってしまうかもしれない可能性」にしっかりと言及している点である。
明日は我が身ではないが、人はいつ何が起こるかわからないし、自分たちはたまたま何もなく日々を過ごすことができているだけで、行動によっては今まで大事にしていたものをなくしてしまったり、裏切ってしまったりする可能性を秘めている。
そこに「選択」というのは非常に重要な要素となっている。
そんなことが夢によって描かれるある選択の
最悪の事態に繋がる様から示唆されている。
今まで描いてきたものと伝えたかったものを、一気に違和感のない夢オチで訴えてくる展開には震えたし、さすがに予想ができなかった。
その夢によって2人は、本当にすべき選択を見直し、無事久住の逮捕にこぎつけられたわけである。
久住が伊吹と志摩を殺さなかったのも一つの選択だ。
よいことも悪いことも全てが選択によって生まれている。
そんなことが余すことなく伝えられていた。
・フィクションに盛り込まれる細かい現実
善悪の境界線がなくなっていき、グレーゾーンが広がっていく世の中。
ベースとして描かれていたのは、グレーゾーンスレスレをいくYouTubeなどのコンテンツ、事実がどうかがわからないことが拡散されるSNS、オリンピックの問題、コロナのことなど、色んな現実が描かれていた。
・最後に
お互いの正義(言い分)が衝突することで、争いは生まれる。
ルールのもとで自分たちは生きなければいけない。
そうしないと同じ目線で何かを語り合うことはできない。
でもそうも言ってられないこともある。
許されないことに対しての覚悟、そしてどうしようもできないこともある人のスイッチ。
でも踏みとどまらないといけない。全て選択。ゼロから始まる。
本当に絶妙に色んなことが描かれていて素晴らしすぎた。
脚本の作り込みが周到でもう完璧すぎた。
MIU404は永遠です!