『MIU404』が面白い。それは、言うまでもない事実だろう。毎週トレンド入りし、8週連続で視聴率2桁をキープ。第9話では、菅田将暉演じる悪役・久住が狂気を垣間見せ、大いに話題になった。クライマックスに向けて、どのような物語が紡がれていくのか、気になるところだ。
しかしこの作品、慣れ親しんだドラマと何かが違う。なんだろうな…と考えていて、ふっと思い至ったことがあったので、ここに書き記しておきたい。ちなみにこれは、作品の否定などでは一切ないので、安心してほしい。
国内のテレビドラマには、ものすごく大雑把に言って、ある型がある。それは、枠によって尺が決まっているということ。30分もの・1時間もの…といったように。実際にはCMが入ったりするため、それより短いのだが。
そしてまた、各話が始まる前には、「これまでのあらすじ」として「アバンタイトル」が入る。続き物なので、これがあることで前回を振り返ることができ、非常にありがたい。
ただ、『MIU404』においては、この「前回はこうでした」がほぼ入らない。「基本的に1話完結」であり、前回から物語が引っ張る場合は(第9話のように)ちゃんと入るのだが、それも最小限にとどめられている。
また、『MIU404』の異質な部分は、他にもある。わかりやすいところでいうと、「移動時間」があまり描かれないのだ。家を出た志摩が、次のカットでは離れた場所にいる伊吹のもとに着いているシーンなど、合間の時間をばっさりカットしている。加えて、1つ1つのシーンに、次につなげるような「残し(余韻・余白)」をほぼ入れない。端的に言うと、テンポが早いだけでなく、各シーンが非常に短いのだ。
今期のドラマをざっと見渡してみても、やはりかなり異質。ある種ダイジェスト的に進め、間の部分は視聴者の想像力で補完させるような構成は、ある意味でとてもスマホ感覚に近く、スワイプ的だ。つまり、物語が映像として連続しているのではなく、各パートが“連結”しているような風合い。
そしてこの構造は、例えば第8話の“泣かせ”のシーンを緩やかに描くようなオーソドックスな演出が入ることで、より際立つ。つまり、1話の中で、テンポにかなり差がある。これが、個人的に違和感を覚えた理由のような気がするのだ。
正直、なぜこのようなつくりになっているのか、まだ調査と思案が足りず、答えは見いだせていない。最終話まで観たら、わかるのかもしれない。ただいずれにせよ、画期的であるのは確かだ。