すぐ目に飛び込んできたのは、目も覚めるような瑞々しい緑だ。映像の美しさは凄まじくて、我が家のテレビが4K対応ならば、目が眩んでしまうのではないかと思うほどに鮮明な映像だった。物語は、光秀が生まれ育った地・明智荘が野盗たちに奇襲されるところから始まる。近年の大河で見ることがなかった戦闘シーンも力が入ってて、敵を追って屋根から屋根へ飛び移る躍動感満載の光秀の姿には、昔よく遊んだ戦国BASARAを思い出した。
前作のいだてんが近現代の話だったので、大河ドラマ特有の台詞回しには耳がまだ慣れないが、至ってシンプルな初回だったように思う。
野盗奇襲時に初めて目にした“鉄砲”を見て、光秀は外の世界をもっと知りたいと主君・斎藤道三(本木雅弘)に旅の許しを願い出る。見た目に反してどケチな道三は猛反対するが、妻の病気を治す名医を連れてくることを条件に承諾。都会で超人気の鉄砲は田舎者の光秀が一朝一夕で手に出来るような代物ではなかったが、ラッキーなことに、出会ったばかりの松永久秀(吉田鋼太郎)がサンタ方式でプレゼントをしてくれる。ルンルンで鉄砲を手に入れた光秀は、もう一つの目的・名医と噂の望月東庵(堺正章)を探すために京へ。しかしまたそこで、光秀は野盗たちの襲撃にあってしまう。
いだてんを「大河らしくない」と評していた人たちにとっては、待ってましたと言わんばかりの“THE大河ドラマ”だろう。私としては内容よりも、豪華かつ確実なキャストが鮮やかな衣装を身に纏い、歴史上の人物として生きていることにワクワクした。初回から既に本木雅弘演じる斎藤道三が気になって仕方がない。なんなんだあの気迫……!オリジナルキャラクターとして登場する菊丸(岡村隆史)が今度どう絡んでいくのかも気になった。
「麒麟はいない」ずっと抱いていた違和感が腑に落ちたように、光秀は言葉を発した。謀反人として描かれ続けてきた光秀が麒麟を連れてくる姿は、まだ想像ができない。麒麟は光秀の前に現れるのだろうか。長谷川博己が描く新しい光秀の姿を、この目にしっかりと焼き付けたい。