ただの不倫ドラマではないです。黒木瞳を見ると、かつての不倫ドラマの「失楽園」を思い出しますが、平成当初のバブルが崩壊した「失楽園」当時とは違い、今の時代、不倫しても、されても最後は女が勝つというのが、平成最後の結論なんです。
専業主婦だった真璃子が、夫にも娘にも裏切られ守り続けてきた家庭が崩壊し自分の存在意義も見失って失望しながらも、自暴自棄にならないところが、ハッピーエンドでした。ドラマの最後の方で夫の完治が夫婦の愛の誓いとでもいえるようなキスをしてベッドを共にして元の鞘に収まったように見えても、真璃子が離婚を切り出して完治を狼狽させるような強い女になった場面は、象徴的でした。
栞だって、最初は不幸な女性を演じていますが、最後は完治の愛を勝ち取って2人で人生を歩むではないですか。
このドラマは、最初は完治という狂い咲きの中年サラーリーマンの逃避行かと思いきや、結局、振り回されたのは完治の方だったと判りました。
むしろ、時代の流れについていけなかったのは完治の方で娘の美咲と対立しますが、自立した美咲が婚約者の春輝も家族も振り切って戸波教授との年齢を超えた愛に生きる姿こそ、一番輝いた星になったのだと思います。
ハラハラドキドキで、家族もなにかも分裂しそうで、どうなるかと思いましたが、完治も栞も真璃子も、ちょっと気の毒な春輝ですが、最後は皆、星を掴めて良かったです。