こういった書き込みを初めてさせていただきます。
作法などを分かっていない場合はご容赦下さい・・・。
この「チェリまほ」だけは、書かずにおれず思わず会員登録してしまいました。
まず、11話というより役者さんの全体的な話をさせて下さい。
(長くなるかもです、すみません)
町田啓太さんってこんな俳優さんだったんですね・・・。
僕が知っている町田啓太さんは、メジャードラマのバイプレーヤーで
周りの俳優より頭一つ飛び抜けて男前で、演技も妙に品があって板についてて。
でも、だからといって、わざわざ検索したりネットサーフィンしたりする
ところまでは正直なかったです。。。今まで、は。
でも、この「チェリまほ」に出演するとネットニュースか何かで見かけて
まずびっくりしました。深夜帯でしかも役は・・・「マジで・・・」と。
「この人、なんでわざわざこういうマイナードラマに出るの?」と。
その興味もあって観ましたが、黒沢を演じている町田啓太さんを見た途端に
「なに、この温かみは・・・」と一気に引き込まれました。
もちろん黒沢という役柄もあるかと思いますが、そうじゃないんですよね。
なんか町田啓太さんの持っているものが滲み出てるんですよね。
今までの町田さんからは感じなかった「本気」みたいなものを感じました。
というより、もはや「演じてない」というか?
町田さん自身がこの役をいろんな意味で楽しんでいるというか。
でも、まあ、何て言うんだろ、この方にしか演じられない役だと思いました。
他の長身&イケメン俳優をいろいろ想像上であてはめても、なんか違う。
愛しい人を見つめる表情、優しい声色、品のある所作。
動きがキザに作られたように見えるのに、なぜかそれが自然なんですよね。
ほんと不思議なお芝居をする俳優さんだなと思いました。
いろーんな人気俳優がいますが、どの属性にもいない感じがするんです。
多分ですが、町田さんが今まで培ってきたものが成就したのかもしれません。
これで仕事増えるでしょうね。メンズ化粧品のCMとか、女性向け商品のCM
にもってこいの人だと思う。
見た目の雰囲気を黒沢に寄せた感じで出ればパーフェクトだと思う(笑)
赤楚さんは、失礼ですが、この作品で初めてその存在を知りました。
最初は、この若いのにすごい板についてて安達になり切っている子、誰?
って思ってました。特に1話のラスト、変な妄想をしてる黒沢の方を向いて
「えぇぇっ!」って驚いている表情。
それと、柘植と玄関で見つめ合ってるとこを黒沢に勘違いされて
「あー違う違う、これは違うんだ!」って言ったあと「ひぃっ」と
小さい悲鳴を出して指を柘植に向けているところ。
あと、黒沢から「家に行っていいってこと?」と迫られたときの
「あ・・・」と言って口がカクカクなるところ。
この3つはもう笑った笑った。編集もうまいんだと思いますが、
赤楚さんの演技の技術レベルが高い。
初めて見た俳優さんなのですが、なんかすごい「ベテラン感」を感じました。
僕の中では「ひょっとして僕が知らないだけで子役からやってた人かな」と。
でも、演技の世界ではまだ新人に近いと知って、いい意味でびっくり。
レジェンドと言われているコメディアンたちに負けてないですよ。
赤楚さんも「演技できる」とこを見せられて良かったですね。
この人も仕事増えると思う(笑)(誰やねんっ)
そして11話。
他のたくさんの方もおっしゃっていますが、黒沢の「やめておこうか?」
この台詞、黒沢の口からは絶対に聞きたくなかったですね。
いやいや、「安達の苦しみを俺にも共有させてよ」でしょ。
急にかっこつけて冷たく突き放しているようにしか見えなかった。
まるで「は? 魔法? きしょ、面倒くさいから別れとこ」みたいな?
安達がどんだけ取り乱しても、こじらせても、ひねくれても、
「俺は何があっても絶対に安達のこと諦めない!本当に好きなんだよ!」
くらいの熱い言葉を放って欲しかった。それで逃げる安達を追いかけて
マンションの前で強引に抱きしめてあげて欲しかった・・・。
ええかっこして紳士ぶるんじゃなくて、常に追いかけてあげてよ。
内容自体は戦略上、仕方ないので、また演技の話をさせて下さい。
赤楚さんの女優さんのような「頬に伝う涙」が良かったです。
「そこで泣け、泣け」と思ってたら本当にきれいに泣いたので
やっぱこの俳優さんプロだわー、と思いました。
特に「黒沢とうまくいかないかもって」と言いながら黒沢を見つめる表情。
美しかったです。合格!(だから誰やねん)
でもこのシーンの出色はやっぱり町田さんの表情の演技でしたね。
内容自体はさっき言った通り悲しかったのですが、それとは立て分けて。
「俺たち、もうここでやめておこうか?」を言ったときの顔もですが、
そのあと、安達の返答を待っているときの表情・・・。
そして、安達が頷いた後の表情・・・。
ストレートに言うと、哀しさを堪えている抑えた演技、でしょうか。
でも、なんか恋愛感情だけじゃなくて、同性愛という人生の生きにくさや
社会への我慢や、本当の自分を出せないことへの辛さの全部が、
あの表情一つに表われていたような気がしたんです。
恋人という関係性を超えて、家族のような、親から子への愛情のような
母性や父性の「人情」と「機微」を感じました。
町田さんの涙ってめったに見ないのですが、いつ泣いてもおかしくない
くらいに溜まっていた涙が、黒沢の深い孤独感を代弁しているようで、
頬に流れない涙でこんなに訴えることができる俳優さんを初めて見ました。
町田さんのぱっちり目がやけに鋭く狭くなっていて、ハンサムを忘れた
顔つきが、「この人、男前で売ってるわけじゃないんだな」と思ったのです。
まるで本当に黒沢と同じ(笑)
僕もいろんな映画やドラマを観てきましたが、この表情は他で
見たことなかったですし、今までの町田さんでも見たことなかったです。
(町田さんが本気になれる役がなかった、もしくはそういうシーンなかった)
演技、というより、俳優・町田啓太の心が見えたというか。
それこそ触れたというか(笑)
マジで「ドキュメンタリー」を観てるような感じがしたんですよね。
これって僕だけでしょうか。きっと分かって下さる方いると思います。
冒頭に戻りますが、回を追うごとに、こんな俳優さんだったんだなって
驚きと嬉しさで、町田啓太さんのファンになりつつあります。
素敵で素晴らしいと書いてしまうと簡単すぎますが、
優しさ・穏やかさ・誠実さが表情と声と体から滲み出る稀有な俳優さんですね。
坂道で安達の手を握り「ゆっくり、のんびり行こうよ」のときの表情が
忘れられない。
あぁ、「町田啓太」という検索がまた増えてしまう・・・っ。