各テレビ局が配信サービスを始めてから、新しい動きが色々と見られるようになった。その一つが、限定配信となるスピンオフドラマ。若手俳優を主役に、サイドストーリーが描かれることが多い。
現在放送中の『おカネの切れ目が恋のはじまり』のスピンオフ『恋の切れ目がおカネのはじまり?』も、その系譜にある作品だ。北村匠海扮する貧乏な青年・純を主人公にしている。
稼いだお金はギリギリまで実家に入れているため、とにかく節約をしなければならず、デートもコスパ重視で毎回水族館(年間パスポートを持っているから)。その結果、恋人には愛想をつかされてしまう。
そんなとき、彼は酔った勢いでライブ配信をはじめ、流れで失恋ソングを歌うことに。そうしたら、彼の美声に惹かれた視聴者たちが次々と投げ銭を送り始め……というのが、第1話の流れだ。
北村匠海くんの武器を最大限に生かしたつくりになっていて、彼の演技はもちろん歌声を堪能できるスピンオフなのだが、第1話を観た限りだと、本編同等に「お金にまつわるシリアスな要素」もしっかり入っている。
そもそも、純が“節約男子”にならざるを得なかった理由は、実家の経済的な困窮から。お金がないから余裕もないし、精神も追い詰められていく。これは相当悲劇的な設定で、なかなか看過することはできない。そんな彼が配信でお金を稼ぐ、という展開も、現実に即していると同時に、「個人を個人が支えるパトロン制」という現在の新たな動きを示していて、お金の稼ぎ方について、改めて考えさせられる。
北村匠海くんのナレーション(脳内ツッコミ)や、「見ていたのは君じゃなくお金」などのぶっちゃけた歌詞で明るく笑いの要素を入れてはいるものの、根本的にはシビアな目線があるのだ。
北村匠海くんの歌声が最高なのでそこはぜひ注目なのだが(その部分に特化した特別映像もある)、スピンオフだからといって侮れない内容である。