山下智久さんが、海外のキャスト・スタッフと作り上げた密室サスペンス。第1話を観たので、簡単な感想を。
舞台は、なんと南極。科学研究基地で、冬期の6ヶ月間滞在していた研究員10人。夏期と冬期で交代していくシステムだったが、冬期メンバーとの連絡があるときから途絶える。心配になった研究チームは、様子を見に基地へと出向くのだが……。
まず、設定が面白い。密室劇は人気のジャンルで、ミステリーにしろホラーにしろサスペンスにしろ、観る側の緊迫感を高めてくれる。シチュエーションが限定されることで行動に制限が生じ、観る側もぞくぞくするというわけだ。
そして、こういう系の作品は往々にして「外部に助けを求める」ことが突破口になったりするのだけど、南極となるとそれは望めない。つまり、密室というのが建物の中だけでなく、空間全体に広がっているのだ。仮に無線や何かで外部と連絡できたとしても、すぐには動けないだろう。映画『南極料理人』なんかを観ているとほんわかするが、確かに「何か起こったらヤバい」環境ではある。ただ、同時に外的な要因で危機が起こることも少ない。となると、疑うべきは“人”である……。
そしてこの作品、構造もかなり興味深い。というのも、物語は10人が南極に残るシーンの後は一気に6ヶ月後へと飛び、駆けつけた人々が7人の遺体を発見するシーンにつながる。残り2人は行方不明、1人は錯乱状態で話もままならない。一体、何が起こったのか?が、順を追って明かされていくという設計なのだ。これは単純に「気になる……」とそそられるだろう。
しかも、基地には銃痕が残されていて、雪上車は焼け焦げていた。7体の遺体のうち、1つは焼け焦げていたのだ。南極で焼死? しかも銃痕ってどういうこと?と登場人物も観客も真相が気にかかる作り方や、主人公の妻が行方不明者のうち1人だという設定も上手い。妻は加害者なのか、それとも被害者なのか……という不安が、常に渦巻いているから緊迫感が続いていくのだ。
1話の時点で、10人のキャラ紹介→ほぼ全滅という事態に、山下さん目当てで観始めた方は大いにショックを受けるかもしれないが、とはいえ今後描かれる「彼に何が起こったのか?」を追っていくストーリーというのは、それはそれで非常に没頭できるのではないだろうか。
疑心暗鬼が生じ、10人のメンバーに亀裂が入っていく……という流れは、役者の演技力の見せ所。これからの活躍ぶりに、期待したい。