本当に良質と言っても言い切れないくらいに地に足のついてる良質なドラマ。
毎話それぞれの患者に背景や心理的な部分含めてちゃんと寄り添いつつ、裏のストーリーもしっかりと描いていく丁寧な作りがよい。
今期医療ドラマが6作ある中では、『心の傷を癒すということ』と並んで沁み渡る傑作ドラマであるのは間違いない。
本作は病院側の人たちと患者側の人たちが、あくまで対等に描かれているのが本当に素敵であり、医療現場というのはこうであって欲しいと願いたい。
治してあげる治してもらうとかである損得のような関係ではなくて、人と人とが本当に相手のことを思ってコミュニケーションや行動を起こして、苦しく辛い中でも優しく温かく微笑ましく繋がり合っていく。
それも都合よくそういう繋がりが生まれているような脚本ではなく、本当に説得力が物凄くある丁寧な脚本(それぞれの関わりを描くシーン)の積み上げがあって、それが非常によく効いてる。
そのため、医療ドラマでのあるあるシーンだったとしても、他の作品よりも強く感情移入していき、心を打たれ涙が出てくる。
同じようなシーンが他作で流れたとしても、本作でしかここまでは心を動かないだろう。
それだけ全てが物凄くハマっていて、これ以上はないんじゃないかってくらいに全てが丁寧に描かれている。
そして医者たちがどこまでも患者を人として尊敬しているのがよい。
どうしようもない現実もちゃんと描かれている中で、あくまで医者側が患者とのやりとりを面倒くさがらずに、むしろそこを最も大事に捉えて関わり合っていくのが素晴らしい。
医療現場に求められているのは病気を治すことだけではない。
心のケアも大事であり、それは何も特別なことをするわけではなく、相手の気持ちになって考えてみることで見えることがある。
人と人とが関わり合っていく中で大事なことが、そのまま患者と接する上でも大事になってきていることがわかる。
そしてそういう心持ちで関わっていくからこそ、患者は生きる希望をなくした状態から少しずつ生きることに前向きになり、楽しみを見出していけるようになる。
医者と患者の関係性からじんわりと患者同士にまでそれが広がっていき、いつのまにかそこには理想の家族のような素敵な共同体が営まれていく。
何かきっかけがあった上で、それぞれが関わり続けるための布石を作り続けたからこそ、ここまでの強固で素敵な関係性になっていったことがわかるし、それができあがるのに説得力が物凄くある。
これだけ人間ドラマとして素晴らしすぎる作品なので、途中までのややミステリーっぽい展開や恩田先生と梶山先生が仲違いしそうになる展開は正直本作には必要なかったかなと思った。
そこがあったせいで、とてつもなく素晴らしい後半を迎える前に離脱しそうになったことがあった。
離脱しなくて本当によかったです。
逆を言うとあの辺りで離脱しちゃった方、結構いるんじゃないかなー。もったいない。
今クール色んな作品がある中で、涙量ベストの感動人間ドラマ。
最終回。梶山先生がどうなってしまうのか不安で仕方ないですが、見届けていきたいです。
P.S.
キャストが本当にハマっていてキャスティングセンスが素晴らしい。
松下奈緒とかこのキャスティング以上のものがあるかってくらいに素晴らしいし、最近の傾向からここに木村佳乃かって思ったけど始まってみればとてもよくハマっている。
脇を固める木下ほうか、藤井隆、清原翔、岡崎紗絵、ゲストも小川紗良を筆頭に本当によいです。
そして何と言っても一番は民代さんを演じた高畑淳子。
あのリアルな演技は何なんだろ。本当に民代さんという一人の人間がそこに生きているようで、その生き様にボロボロ泣かされた。
間違いなく今クールドラマ助演女優賞です。