私事だが、今月頭に転職した。
初めて触るシステムや、意味を聞いてもイマイチ理解できない専門用語に奮闘している。必ず定時に上がり、早めにお風呂を済ませて、ドラマをリアルタイムで鑑賞して感想をTwitterで呟く……そんな“いつもの私”は、この2月にあまり姿を見せなかった。しかしドラマは待ってくれない。ベッドに倒れ込んだ私は、溜まりに溜まった録画一覧をなんとかせねば……と、死んだ目で眺めた。こんなメンタルの時に物騒な事件のドラマは見たくないし、命について深く考える余裕もない。これでもない、あれでもない、これもなんか違うな……と、無意識に選別していた手が、その時ぴたっと止まった。
そうだ。『ゆるキャン△』、見よう。
『ゆるキャン△』はキャンプに魅せられた女子高生たちの日常を、ゆるーく描いたドラマだ。背伸びすることなく、身の丈にあったキャンプライフを楽しむ主人公たちに、とても癒される。寒空の下、カレーヌードルや餃子鍋を「おいしいねぇ……」とニコニコしながら食べる彼女たちの姿には、なんらかのデトックス効果を感じるのだ。
ソロキャンプを愛する主人公・リンを演じるのは、私世代には“まいんちゃん”でおなじみの福原遥。他作品ではなにかとクセ強めのキャラクターを当てられがちな彼女が、『ゆるキャン△』では、一人とキャンプをこよなく愛するニュートラルな主人公を演じるのがとても良い。生まれながらの美貌を封じて、クセ強めのオン眉JKを全力で演じる田辺桃子には“好き”の気持ちを抱かずにはいられないし、いろいろな学園ドラマで様々なJKを演じてきた箭内夢菜にはデビュー2年目とは思えない貫禄を感じる。
みんな素直で、みんな違って、みんな良い……。愛すべき『ゆるキャン△』メンバーの中でも、特に私が心奪われた“推しメン”は各務原なでしこ役の大原優乃だ。顔もかわいい、声もかわいい、動きもかわいい。調べてみると、あの『3年A組』にも出演しており、遡ってみれば『ようかい体操第一』を歌っていたDream5のメンバーだった。えっマジで?低体温なリンに対し、なでしこは常にテンション高めで嵐を巻き起こす人物である。引っ越し当日、富士山を見るために自転車で遠乗りに来たものの、途中で力尽きて夜になってしまい困り果てたなでしこを、嫌々ながらリンが助けて物語は始まった。なでしこはいかにも漫画的なキャラクターで、台詞の一つ一つが浮世離れしているのだが、大原優乃の癒し系ボイスはそれらに絶妙にマッチする。あんなに可愛く「いひひっ」と言える人、私は三次元で初めて見た(第2話、第6話参照)。もしも私が今の仕事で力尽きて、『フランダースの犬』のように天に召されることがあるならば、CV:大原優乃の天使に迎えに来てほしい。
人気漫画の実写化ということで、始まる前はネガティブな声が上がっていたらしい。しかし原作未読勢に作品の良さを伝える素晴らしい“当たりキャスト”だと思うし、アウトドアの魅力をストレートに伝えることが出来る映像は実写化ならではの強みだと思う。ああ、私もキャンプしたい。だけど今はそんな気力がない。とりあえず今は、私も身の丈に合った休日を送ろうと思う。
今日も今日とて『ゆるキャン△』見よう。