今回、珍しくケンジが怒った。本当に珍しい。私はずっと原作を読んでいるが、ケンジがシロさんに怒るというシーンは、おそらくこの一度きりだと思う。

両親への愚痴を並べるシロさんに「贅沢だね」と静かな怒りを見せるケンジ。理解する姿勢を見せてくれているご両親に文句を言うのは違うだろう、と。
確かに、シロさんの両親は、ゲイである息子のことをなんとか理解しようと務めていて、決して責めたりもしない。
そんな両親に文句を言うなんて、ケンジが怒るのも当然。たまには親孝行するべきだと、私も思う。
感情的にならず、冷静に怒りを表すケンジはかっこいい。彼は自由奔放で、天真爛漫なように見えて、とても大人な男。こんな素敵な人に愛されているシロさんが羨ましい。

シロさんにいつもとは違う態度を取ってしまって後悔しているケンジが、ひとりきりでどんなさみしい年越しをするのかと思ったら、なんとラーメン。ウッキウキでサッポロ一番を作り、アイドルのカウントダウンをひとりで堪能するケンジの姿は、非常に愛らしかった。

正月、シロさんの実家には、隣の家の子どもたちが遊びに来る。自分が子どもを持てないことは、ゲイである以上は当然で、子どもなんて欲しいとも思っていないけど、それは親の望み(孫の顔が見たい)を叶えてあげられないということ。複雑な思いを抱えたシロさんの切ない表情がとても印象的だった。

別々の正月を過ごしたケンジとシロさん。ふたりが日常に戻り、いつものように食卓を囲む光景は、今回も見ていてとっても幸せな気持ちになった。