個人的にガッツり印象に残ったセリフ。
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「年取るって、悪くないですよね」
年を経るとともに全てが愛おしくなった、という
三谷まみが、シロに同意を求めた際のセリフ。
フェロモンだだ漏れの宮沢りえさんの演技も見事でしたが、
今回のスペシャル三部全体のサブテーマを暗示していて
「あの頃の母親、今のわたしと同じくらいなんだ」
のセリフとともに、劇中に長く余韻を響かせます。
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「最後はうす塩なの」
ケンジがジルベールから一本とったセリフ。
「そんなにベタ惚れ感出したら軽く見られんじゃん」
「簡単に手に入るものに人は執着しないよ」
というワタルに対して、
「おじさんたちは定番がいいの、もう安心したいの」
「だから愛情を試すのは時々にしてあげなね」
と、年齢にともなう愛情の質の変化を語る。
淡々とした口調ながら「どうだ?小僧!」的な
ケンジの得意げな胸中がほの見える。
内野さんの演技が相変わらず憎い。
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「冷蔵庫が臭くなるの嫌だから、チゲの残り
いますぐ食べちゃってくれる、全部!」
ケンジに一本とられたワタルが少々改心し、
小日向さんに放ったセリフ。
「作ったから食べて」と素直に言えないジルベールの
超めんどくさい性格を表してて愛らしかった。
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「僕はワタルくんが投げつけるワガママは
全部僕に向けられていてほしい。
そして100パー、僕だけで答えてあげたいんです」
小日向さんの愛のかたちが明瞭に表明されたセリフ。
シロとケンジの関係とは違った、
年の離れたカップルならでは、なのか?
小日向さんとワタルくんは、同じカップルとはいえ、
シロたちとは違って自己愛がすごく強い気がしました。
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「とにかく飯だ、飯を作ろう」
親の老後問題がのしかかってきたシロが、
気持ちを持ち直そうと放った独り言。
今回のスペシャルだけでなく、『何食べ』全体を
象徴するセリフですね。
第3部のシロさんの職場でのシーンでは、
次のようなやりとりもありました。
「うぅ、やっぱりうまいなぁ、うなぎは
なんだかんだ食べてしまう
人間てのはダメなもんですね」
と、これは依頼人のフジサワさんが嗚咽するシーン。
これに対してシロさんは
「うまいもん食べた時に、それをまた一緒に食べたい
食べさせてあげたいと思う人が心の中にいる人間は
何があってもやり直せます」
と応じます。
さまざまな課題・問題をかかえていても、
人には「食べる」という普遍的な課題がある.
そして、その食事を共にできる人がいれば大丈夫、
そんなメッセージを感じました。
懐かしい人たちに会えたような嬉しさをもたらしてくれた
今回のスペシャルに感謝です。
タイトルに “2020” とついているので、
もしかしたら来年もあるのかなと期待してます。