フジテレビで放送されていたドラマ『モンテ・クリスト伯—華麗なる復讐—』は、陥れられたある男性が、自分を騙した人間たちに復讐するという話です。
主人公は柴門暖（ディーン・フジオカ）という遠洋漁業で働く漁師。仕事の業績を認められ、恋人とも結婚を約束していました。
ところが暖の幸福のおかげで自分の立場や大切なものを失ったと感じていた周囲の人間たちが、ある事件をきっかけに、暖を裏切り、無実の罪を着せてしまいます。
暖は何も知らないまま、遠い国の牢獄へ送られ、そこで知り合った老人と話すうちに、自分が騙されたことに気がつきます。
脱獄を成功させた暖は、モンテ・クリスト・真海という別人になりすまして、日本に戻ってきます。そして、自分を陥れた人間たちに、非情な復讐を開始するのです。
このドラマで大事なのは、まず第1話です。
漁師としてその才能を発揮して、周囲の人たちに慕われていた柴門暖という男が、どうして犯罪行為や殺人もいとわないような人間へと変貌してしまったのか、その理由が一番最初の話に描かれています。
ドラマの中で主な展開として描かれるのは、柴門暖＝真海の復讐です。復讐の標的となった男たちを自分と同じ目に遭わせるために、真海は手段を選びません。相手の生活や人生を徹底的に調べつくし、外堀をじわりじわりと埋めてゆきます。配偶者である妻に対しても、復讐の手は伸びていきます。
こうした恐ろしい復讐の裏で、関係する人物たちの心理が丁寧に描かれています。信じていた人間の裏にとんでもない過去が潜んでいたり、裏切ったと思った人間の心にもさまざまな事情があったりと、一言では言い表せないような複雑な思いが出てきます。
人間ってとんでもねえなぁ〜、っていう気持ちにさせられる、大人向けの、すっごい見ごたえのあるドラマでした。