エンタメ好きの私がコロナで唯一良かったと思うことは、“コロナ禍によって新たな作品に出会えたこと”だ。YOUTUBEでは三谷幸喜脚本の超人気舞台『12人の優しい日本人』が朗読劇で配信され、行定勲監督がリモート映画を製作した。完全に停止したと思っていたドラマ界はNHKのリモートドラマを皮切りに動き出し、今週から来週にかけて遂に春ドラマが始動しようとしている。私はゴールデンウイークにあったNHKのリモート3部作で、リモートドラマは広がらないだろうと思っていた。なぜならば、リモートドラマで出来うる限りの全てを、あの3部作で描き切ったような気がしたからだ。「これ以上のネタはあるの?」と思った。しか...
エンタメ好きの私がコロナで唯一良かったと思うことは、“コロナ禍によって新たな作品に出会えたこと”だ。YOUTUBEでは三谷幸喜脚本の超人気舞台『12人の優しい日本人』が朗読劇で配信され、行定勲監督がリモート映画を製作した。完全に停止したと思っていたドラマ界はNHKのリモートドラマを皮切りに動き出し、今週から来週にかけて遂に春ドラマが始動しようとしている。私はゴールデンウイークにあったNHKのリモート3部作で、リモートドラマは広がらないだろうと思っていた。なぜならば、リモートドラマで出来うる限りの全てを、あの3部作で描き切ったような気がしたからだ。「これ以上のネタはあるの?」と思った。しかし私の予想はまったく当たらず、坂元裕二が新作のドラマを出したり、フジテレビが林遣都一人で中編ドラマを作った。もうさすがに新作は出ないだろうと思っていた6月終わり、更におもしろいリモートドラマが生まれた。
6月28日のお昼、日テレの関東ローカルで放送されていた『ダブルブッキング』。主人公の雄二(千葉雄大)は、ビデオ通話で恋人・彩(佐津川愛美)の転職祝いをしていた。しかし、そこへ二股をかけている女子大生・マヤ(奈緒)からも通話が来た。今日はマヤの誕生日でもあったのだ。雄二はタイトル通り、オンライン上で“ダブルブッキング”をしてしまったのである。
分不相応に二股をかけた雄二は、親友のエンジニア(前野朋哉)とGoogle検索の知恵を借りて、なんとかダブルブッキングを乗り越えようとする。辻褄を合わせるために必死。この一日で雄二は、“ピザで米を巻いて食べる人”になったり、“密輸をしている人”になったりもするのだ(もちろん嘘!)日本中を隈なく探せば、雄二と同じ状況になっている人がいるかもしれない。
右往左往する千葉雄大で思う存分笑ってほしい。彼を笑えば笑うほど、この作品はおもしろくなる。