シミジミと良きドラマでありました。
さっちゃんに帰る場所と帰る理由ができて良かった。
クズ親父を変に理由つけていい親父へ持っていくことを最後までしなかったのも良かった。
クズ親はクズ親のまま。
チルチルミチルちゃんの両親とも分かり合えないまま。
そんなこともあっていいじゃん。
子どもは子どもでシアワセになれればいいじゃん。
「親は子どもの人生変わってやれねぇんだもん」
その現状を肯定しつつ、結果としてさっちゃんが「兄ふたり」を望む形でちゃんと手に入れてくれたのも本当に良かった。
ローマ万歳!
以前の回で、クズ親父に振り回された人生を振り返りつつ、こんな思いをするのはオレたちだけで充分だ、と弟が呟いたとこ(もっと言うならその前に既に兄がオレ1人で充分だと言っていたとこ)、「カルテット」でマキさんが危篤の親に会おうとしないスズメちゃんの手を掴んで「会わなくていい。帰ろう」と言ってくれたシーンを思い出した。
いいんだよ。親子の関係がドラマ的美談で終わらなくたって。
許せないもんは許さなくたって。
キレイごとじゃなく、前を向いて生きていくために、自分に非道いことするクズな奴を自分の人生から締め出すことだってあっていいんだ。
そんな風に仁王立ちで妹を守ってくれる兄たちの頼もしさときたら!
(でも、そう言いながら、時の流れには憎しみや許せない気持ちをちょびっとだけ発酵させてくれる効能があることもチラと見せてくれるんだよね、コタキは…(【 第9苦・老苦 】参照)
(そして、前から薄々感じてはいたけれど、私はこのドラマを通じて芳根京子という俳優さんを今後の映像界を背負って立つ類いまれな逸材と認識いたしました。
さっちゃんがさっちゃんたれた大きな要素は彼女の好演にあると信じている。したたかで、ドライで、でも無垢で美しい生命力に溢れたさっちゃん素晴らしかった。好き。)
ここまで12の「苦」の中には一つひとつ本当に重いニンゲンの業が詰まってて、ニッチもサッチもやりきれない、身につまされる世界が淡々と冷静に描かれてきた。
それでもそれがただ冷静なだけでなく、何気なくみせかけた台詞の端々、瞬間カメラに切り取られた表情ひとつでそこに色と温度が加えられ、40分間見終わった時にはその馬鹿なニンゲンが何故か愛おしく思える賛歌になっているところ、
野木亜希子さんという書き手の比類なき力量と、楽しみながらその世界に身を投じた演者・演出チームの美しきチームプレーの成果がそこにはあった気がする。
毎回、スタレビの🎵もしきみがぁ〜が聴こえて来た時のホッコリ感ときたら、本当に筆舌に尽くし難かった。それが何かはわからないけれど、何かが満たされた!そんな気にさせてくれるドラマだった。
兄妹ごっこの「ただいま」「おかえり」で始まり、最後はさっちゃんの心からの「いってきます!お兄ちゃん」を聞けた最終回。
コタキ家、良かったね。
ローマ、通じてたね。
12苦、最後の最後に三と四のナゾを二路が発見した時、私は声に出して叫んだ。
「続編!!!!!!」
本気で待ってます。
三と四で続編。