「その気になれば、男とも付き合えるんだよね?」
「ホッとした。やっぱりね、男と女というのが自然の姿であって、その方がいいに決まってる」
サッちゃん(芳根京子)と同棲していた元恋人が“女性”だということは、第8話「五蘊盛苦」で明らかになっていた。今回放送された第11話では、サッちゃんの元恋人・ミチル(北浦愛)が依頼人。というよりも、ミチルは姿を消したサッちゃんに会いたくて、レンタル兄弟オヤジのもとへ辿り着いたのだった。
「……あっ、ミチルです……あたしが同棲してた、元カノ」
娘の将来に備えてLGBTを勉強したことがある二路とは違い、サッちゃんがレズビアンだということ...
「その気になれば、男とも付き合えるんだよね?」
「ホッとした。やっぱりね、男と女というのが自然の姿であって、その方がいいに決まってる」
サッちゃん(芳根京子)と同棲していた元恋人が“女性”だということは、第8話「五蘊盛苦」で明らかになっていた。今回放送された第11話では、サッちゃんの元恋人・ミチル(北浦愛)が依頼人。というよりも、ミチルは姿を消したサッちゃんに会いたくて、レンタル兄弟オヤジのもとへ辿り着いたのだった。
「……あっ、ミチルです……あたしが同棲してた、元カノ」
娘の将来に備えてLGBTを勉強したことがある二路とは違い、サッちゃんがレズビアンだということに衝撃を受ける一路。冒頭に書いた見るも無残な台詞は心の声ではなく、実際に一路が口に出したものだ。さすがの二路も最悪……と溢したあと、「マジデリ(マジでデリカシーない)」と一路を睨みつけた。
ドラマや映画でLGBTを描くことは、あまり珍しいことでない。ただ、今も昔もセンシティブなテーマであることに変わりはなく、ある意味で作り手自身の価値観や感性が全面に出てしまう難しい題材でもある。LGBTを扱ったドラマが流行ってるし、とりあえず時代の波にのっとこうかなと軽いノリで手を出したら、一路のように一瞬で大火傷をするだろう。
しかし一方で思う。綺麗事ばかり描くのが本当に正解なのか、と。マジデリだらけの一路の発言はたしかに酷い、めちゃくちゃ酷い。だけど〝あえて〟マジデリ側の人も描いた『コタキ兄弟と四苦八苦』は、やっぱりとても考え抜かれた作品だと思う。二路のように理解がある人もいれば、一路のように未だマジデリな人がいることも、私たちが生きる社会の現実だからだ。
その後、一路は図書館でLGBT関連本を大量を読み漁り、自分のマジデリに打ちひしがれて風呂でのぼせた結果、庭で行水をおこなう。サッちゃんに謝りたいけど本人は顔も見たくないだろうと、兄弟そろってサングラス姿で喫茶シャバダバを訪れた。「どうして私たちは祝福されないんだろう、どうしてこんな風に生まれてきちゃったんだろう」と涙を流すサッちゃん。今まで見てきたどんなシーンよりも緊張した声で言葉を伝える一路の姿に、思わずうるっとしてしまった。綺麗ごとでも作りものでもない。あの時の一路の言葉が、間違いなく、どうしようもないくらいに本物だったからだ。
「あなたが、あなたたちが、あなたとして、生きていくことを、俺は祝福する!」