今さらながら、話題作『共演NG』を見始めた。恋人同士だったが破局し、いまは「共演NG」になっている大物俳優ふたりが、25年ぶりに共演することに――というセンセーショナルな作品だ。原作は秋元康さんで、監督・演出・共同脚本は大根仁さん。中井貴一さんと鈴木京香さんが主演を務める(配役が絶妙だ)。
個人的に大根監督は作劇の仕方が国内ではかなり珍しい方だと思っていて、第1話を観ただけでも“らしさ”が至る所に感じられ、興味深い。Netflixのオリジナルドラマにみられるようなアメリカンなテイストに(テンポ感や見せ方から、洋画が好きな感じがビンビンに伝わってくる)、メタ構造(本作でも、回想シーンを出演者が前振りする)、深夜ドラマのノリ(検温がうまくいかない、というようなコロナ禍あるあるネタを堂々とぶっこむ)、さらにトレンド感(SNSの描き方、2.5次元俳優を登場させる、セリフの所々に感じられる今風のワード)を掛け合わせた面白さ。
例えば、「Netflixで1本当ててから調子に乗りやがって」というセリフや、中井さんに向かって「『記憶にございません』か?」と聞くセリフなど、他ではちょっとみられないものが並ぶ。SNSやインターネットの使い方も、現代の肌感覚にコミットしていて見やすい(この部分、意外と一般ユーザーの感覚とズレた描き方をしている作品が多いように思う)。
「外部からショーランナーを呼んだ」「PR会社(バズらせ屋)が注目度を浴びるために好き勝手やる」、という要素は洋画や海外ドラマで最新のショービズを摂取しているからこその発想だろうし、主演のふたりに黙って会場入りからネットで生配信し、会見後もこっそり配信し……という「芸能人を完全に消費する」潔さや、良くも悪くも大衆のモラルを信じていない感覚が、不思議と鼻につかない。シニカルな要素を入れつつも、視聴者に嫌悪されない位置取りはやはり、クリエイター自身がちゃんと2020年のいま、時代の空気に触れながら生きているからこそなのだろうなと思わされる。浮世離れしたところがないのだ。
中井さんと鈴木さんの舌戦や演技合戦は安定の面白さなのだが、この「攻めていながらもハズしていない」バランス感覚は、さすが大根監督だと思わされる。非常に見どころが多い第1話だった。