海外ドラマのオスズメは?と聞かれたときに、真っ先に挙げてしまう作品がある。『SHERLOCK』だ。でも、自分はなぜこの作品に惹かれるのだろう? ちょっと考えてみたい。
①めちゃくちゃ面白いから
元も子もない理由だが、やっぱり外せない。面白くなければ、他者には薦められない。じゃあどこがおもしろいのかと言われたら、まずは「シャーロック・ホームズの物語を現代アレンジしているところ」だろうか。
自分は『シャーロック・ホームズ』が小さいころから好きで、全部読んでいる。そういう人間にとっては、原作の細かい部分まで抽出して、現代に置き換えて、しかも新しい発見をさせてくれる作品というのは歓喜でしかない。しかし、シャーロック・ホームズを知らない方にも勧めたいと思うのはなぜだろうか。それはきっと、単純に推理ものとして抜群に面白いからだ。
1話完結で90分。ちょっと短い映画の感覚で、奇妙な事件をシャーロックが解決する。基本はこのつくり。しかし、事件の内容が奇抜で、ついつい気になってしまう。そしてシャーロックのキャラが立っており、ストーリーにひねりが効いていて、見せ方が面白く、何より没頭できる。それは数々の要素が練られているハイクオリティな作品だからこそだし、この作品によって日本国内の海外ドラマの印象が大きく変わったといってもいい。これまで海外ドラマに縁遠かった人たちが、一気に流れ込んできたからだ。それはやはり、面白さが故だと思う。
②見せ方の斬新性
ストーリーの面白さはもちろん、この作品にしかないのはやはり、見せ方の独自性。つまり、映像表現だ。
シャーロックの部屋から、推理がスタートすると一気に現場へと移動。部屋が事件現場に変わる、という演出や、早送りとスロー再生、ダイナミックなカメラワークで「現場」と「部屋」をシームレスにつないだり、画面上にメールの文面が出てくる演出も当時は斬新だった(スワイプで消す動きも)。スマホやネットの使い方も効いている(こういったデバイスを駆使した推理物は、ありそうでなかった)
話の展開も相当早い。こっちがかなり必死についていかないといけないスピードなのに、映像表現がスタイリッシュで目を引くから、疲れたり飽きてしまうことがない。この辺りも『SHERLOCK』の重要な側面だ。
ものすごくざっと考えると、まずはこの2つだろうか。実際は役者陣のすばらしさや90分の構成のうまさなど無限にあるのだけれど、またゆっくり時間を取って考えてゆきたい。