突如としてネット上で話題になった、異国の地、タイのBLドラマ「2gether」
タイ?肌が浅黒くて顔が濃い感じの…?なんて、タイの人に対して漠然といだいていた先入観が、このドラマのおかげで遥か彼方に吹っ飛んだ。
出演者の顔がいい!スタイルがいい!BLの実写で、いや、普通のドラマでも、主要キャストのビジュアルがここまで眩しい作品、なかなかお目にかかれない。
そして、タイという国は、日本など足元にも及ばないほどのBLドラマの先進国。視聴者(主に女性)がBLに求めるものを制作側がしっかりと把握しているので、2getherにはBL独特のありとあらゆる萌えが、これでもかというほどにいっぱい詰まっている。
愛らしい真っ白うさぎちゃんなTineと、神々しく光り輝くSarawat、このふたりを中心に描かれる、コミカルかつ繊細な王道ラブストーリー、それが2gether。
天然ピュアでノンケな主人公Tineが、自分に言い寄ってくる男をどうにか諦めさせるために、誰かに偽物の彼氏になってもらおう!と思い立ち、そこで目をつけたのが校内一の超絶イケメンSarawat。
「俺の彼氏になって!」と彼を追いかけるTineと、突然のことに驚くSarawat…。こんなふうにドタバタと始まったふたりの関係。
偽の交際のはずなのに、Sarawatの大きな目で見つめられ、間断なく愛の言葉を囁かれて、Tineは戸惑いながらも徐々に彼に惹かれていく。
テンポがいい。見ていて気持ちいいくらいに、楽しく快活にポンポン話が進む。けど甘い雰囲気のシーンでは時が止まったかのように、ゆったり濃厚とした空気が漂う。
緩急がきっちりついている、という感じで、非常にドラマ全体の出来の良さを感じた。
話の大筋の「偽の交際から始まる恋」、これは少女漫画でもBLでも恋愛ドラマでも、誰もが一度は見たようなありがちな設定。
そして昔から使い古されてきたセリフやしぐさ(「おまえは俺のものだ」、頭ぽんぽん、イヤホン分けっこ)の数々。
中途半端な役者が演じたら、きっとまともに直視できずに苦笑いしてしまうだろう。稀に見る輝かしい外見のこのふたりが演じたからこそ、あらゆる古典的な表現がすべて新鮮かつ眩しく見えた。
私が2getherを賞賛する理由は、もちろんビジュアルのことだけではない。
話の内容が実に深く、「えっ!?」と声を上げてしまう秘密が中盤以降で明らかになる。序盤のセリフや表情のひとつひとつには、すべて意味が込められているのだ。その見事な伏線回収には本当に感心した。
また、「これを実写で見れるなんて!」という萌えシーンの多さとその質の高さにも驚かされた。特に後半あたりには、これでもかというくらいに究極の胸キュンの連続で、ついつい拝まずにはいられない。
何度見てもけっして飽きない 。飽きるどころか、見るたびに2getherへの愛が深くなる。そしてWinくんとBrightくん(演者ご本人たち)にもずぶずぶハマっていく。まさにスルメのようなドラマ。
メインのカップル、TineとSarawatを囲む人物たちもみんな魅力的。
いくつかのサブのカップルの恋も、どれもが切なくて、毎回その進展にドキドキさせられる。また、周りを取り巻く友人たちが、明るくおもしろいだけではなくて、物語には絶対に欠かせない存在。
つまり、誰の言動も目が離せない。どのキャラクターも重要かつ愛おしい。
Winくんは原作Tineとはかなりイメージが違う(原作Tineは小柄でWinくんは長身)。しかも彼は演技の経験ゼロの新人。Brightくんも原作Sarawat(熊のよう)とはかけ離れてるし、元々俳優として定評があったわけでもないとのこと。そんな彼らをあえてTineとSarawatに起用した方々の先見の明に、心から敬意を評したい。
天使のような笑顔のTineと、息を飲むほどに美しいSarawatが、優しく心地いい音楽と共に織り成す恋の奇跡。
日々の忙しさの中でときめきを忘れてしまった大人の皆さんに、ぜひぜひ見て頂きたい。