5話6話になるともう1分たりとも見逃せないことになってきてた「おっさんずラブ」。
この辺まで来ると、状況はもう 前回予告の阿鼻叫喚→必死の考察→更にそのナナメ上を行かれる展開 という流れにも、 は!?どゆこと!?っていう各種爆弾のブッ込み波状攻撃にも、視聴者がいちいち細かく反応してらんないくらいのジェットコースターっぷりを呈していた。
上げて落としてまた上げての急旋回っぷりに見てるコッチはもうヘトヘトのズタボロだ。(だけどやめらんない)
特に6話はマジで 詰めっこっみっ過ぎなんですよっ!ってくらい押し込められてる物語の熱量がデカいので、見る側はマジで疲弊するし、それと並行して沼の深度は増していく。
それまでにも薄々感じてはいたものの、6話を見ながら確信したのは、「あ、この脚本&製作陣は、視聴者を置き去りにすることを恐れてないんだな」って点。
ここまでにカマされた放置プレイや肩透かしは多々あった。
2話終わりのデコチュー後1週間、あんなに心配したのに3話アタマで牧くんシレッと春田家に帰ってるし、待てど暮らせどATARUくんの正体は明かされないし。
そもそも“ゴミ箱キック”“そんなこと俺が一番分かってます”から“武川さんちにお世話になろうと思って”まで、牧くんと武川さんの2人がどんな立ち位置でどう絡んでたのかすら明らかにはされていない(なのに突然激しく土下座かましてくるマサムネ…大人な主任をここまで翻弄する牧くんの小悪魔ぶりが推察されて胸が震えたよね…)。
加えて、すわ!終盤に向けての分水嶺!?と緊迫した5話終わりのはるたん決死のカミングアウト(民絶叫)も6話アタマで牧くんに簡単にいなされ、物語は粛々と進むのだ。
え?あ?今のもう終わり?
行間に想像の余地あり過ぎじゃね??
っていう展開の、如何に多かったことか。
でも今思えばこの「説明しないし、媚びない」って姿勢と、物語の寛容に満ちた世界観、そこに行間を楽しむ民の盛り上がりが絶妙に噛み合っちゃってたんだな、これが。
脚本の姿勢が別にそれを意図したものではなく、単に“スッカスカじゃん!(by 某制作陣)”なものだったということはのちに判明するんだけども、それはそれとして、決して悪いことではなかったと私は思っている。特にこの6話では、テンポ、バランス共に奇跡のハマり方をしてたんです。そう、この時点では!
ともあれ、テンコ盛りの6話は忙しい。
倒れる牧くん。
彼氏はるたんの必死の餅粥看病。
尊い!
これが尊いということなんですね神様!
続く蝶子さん、聖母の献身。
武川主任来襲で明らかになるまさかのマサムネ呼び。崩れ落ちる民の群れ。
ちずちゃんのド天然宣戦布告で牧くん至高の切なみ観音菩薩。
極め付けははるたん帰宅からの可愛いワチャワチャと絶品悶絶冷蔵庫ちゅー。
ありがとうコスモ石油。
カップルとして交わされる、そこからの実家絡みの2人の会話なんぞは、今となっては涙無くしては見られない隠れた名場面である。(いや隠れてはいない)
そこから先も、さぞや家族との間で葛藤があったんでしょ!ね!悩める青少年・牧くん!と身構えたコチラの握り拳を見事に無駄にした「仲良くて良かったわぁ」な牧家くらいまでは良かった。微笑ましかった。ジェットコースターも上りの眺めは爽快だったんである。
2人しみじみキャッキャの帰り道、
そこにかかってきたちずちゃんの呼び出し電話から急降下は始まる。
阿鼻叫喚とはこのことである。
ここからの詳細は略す。
書けない。
私には書けません。
参考までに【阿鼻叫喚】。
…非常な辛苦の中で号泣し、救いを求めるさま。非常に悲惨でむごたらしいさま。地獄に落ちた亡者が、責め苦に堪えられずに大声で泣きわめくような状況の意から。
…「阿鼻」は仏教で説く八熱地獄の無間地獄。現世で父母を殺すなど最悪の大罪を犯した者が落ちて、猛火に身を焼かれる地獄。「叫喚」は泣き叫ぶこと。一説に八熱地獄の一つの大叫喚地獄‥釜ゆで地獄 の意。
(三省堂「新明解四字熟語辞典」より)
かの“三文字殺人”に圧殺された無辜の民の魂は、この後1週間一滴の水を求めて地獄を彷徨うことになる。
嗚呼、思い出す。
6話放送後7話までの“あの1週間”。
仕事は何一つマトモに進まず、
高速道路で事故りかけ、
家では何故か普段目もくれないサッシの角を楊枝でほじくるまで掃除をした。
夕食は一汁五菜の豪華ディナーを作り続け、
家族全員に今までなかったほど優しくなれた。
何故???
わからない。
そうせずにおれなかったのです。
ただただ1日30時間牧凌太のことを考えて生きました。
冗談も誇張も抜きで3キロ痩せました。
迫り来る最終回・7話放送のその前夜、疲弊し尽くし余りの憔悴に耐えかねた私は、
遂に一生やらないと心に誓っていたTwitterに手を出し、人生初の青い鳥アカを作るに至るワケだが、ここから先はまた別途…
まだドラマ未見で今からこの作品を見てみよっかなとかいう方がおられるとしたら、
これだけは伝えたい。
引き返すなら6話を見る前です。
おっさんずラブの沼は、
深い。
(続く)