10年前の作品を初見。
今の感覚でキャスティング見ると えっ!吉高由里子と林遣都???って違和感がまずアリアリだけど、実際見てみると、キラッキラの少年チワワと小悪魔吉高の相性は悪くない。
実を言うと “原作・石田衣良のヒューマンラブストーリー” ってところから当初は結構違和感があったのだが(私の中の石田衣良はなんたってIWGP=池袋ウエストゲートパークとかアキハバラ@DEEPの人なもんで)、
物語自体はお涙頂戴に寄り過ぎることなく、生きるとは、というテーマを淡々とシャープに描き出した良作だと感じた。
まだ10代、デビュー後数年の遣都氏は、硬いし、融通がきいてないし、何より標準語の言い回しがまだ板について無くて不自然。時に棒立ち。技量に勝る吉高嬢のグイグイくる感じに、後ずさったりアドリブもきかなかったりっていう硬直っぷりが目に見えるレベルでダダ漏れてしまっている。
ただ逆に、役柄的にそれがハマるシチュエーションでもあったのが幸いで、未熟で応用が効かず流され易い、でもピュアで真っ直ぐな太一くんがそこにはちゃんと存在していた。
キャスティングの妙である。
オロオロばっかり泣いてばっかりの(そして泣きの演技もまだまだ青い)太一くんは、無駄に“大丈夫!”“俺がついてる!”を連発しながら、弾丸特急美丘ちゃんの風圧にクルクルと翻弄されまくる。
その太一くんの狼狽(同時に、演技における中の人の戸惑い)は本来こちらにドキドキハラハラをもたらさなければならないものの筈なのに、10年後、確固たる実力を身につけた俳優・林遣都を知っている今、その拙さはことさらに感慨深く、なんなら余裕を持って満喫出来る類のものになっている。
しみじみ思うのである。
ココからあれこれ揉まれて、悩んで、今の場所まで辿り着いたんだなぁ遣都くん。偉かったねぇ遣都くん。頑張ったねぇ遣都くん。
うんうん。
ドラマの見方としては完全に間違っている。
笑。
役者の成長を味わう見方といえば、
このドラマには登場人物の皆を支える精神的支柱・高梨医師として谷原章介氏が出演されている。辛抱遠慮、揺るぎなく落ち着いたオトナの魅力。甘い低音ボイスも心地よい、このドラマの“辛くなったらオレの背中を見ろ”的存在(言ってない)の高梨先生なんだけど、
その昔この彼が、私が知る限り史上最強の棒読みイケメン「道明寺司」だったことなんて、若い世代の視聴者は知らないんだろ〜なあ。知らないよね〜。
出てたんですよ。花男。90年代の映画版なんですけどね。ヒロイン・つくし=内田有紀、花沢類は藤木直人。
オニのように可愛かったなあ、内田有紀。
そしてビッッッックリするくらいヘタだったなぁ、谷原章介。
もう完全に“顔面だけでキャスティングしたやろ⁉︎”っていう噴飯ものの棒読み学芸会演技で、実際私は当時付き合ってた彼氏と一緒にこの作品を見ていて「あんまりやろ!」と声に出して叫んでしまい、どうどうと両肩を抑えて宥められた経験がある。
まさかその彼がここまで生き残って、しかも作品に安心感と安定感をもたらす演技派に落ち着こうとは当時夢にも思っとりませんで。
人間って、成長出来るんだな、頑張ったんだな、偉いな、と、高梨先生が出てくるたびに思ってしまうのです。これもドラマの見方としては間違ってるけども。笑。
母親役の真矢みきがまんま真矢みきで、親友グループの勝地涼がひゃ〜、チャレえ〜、って勝地涼で。当時20歳そこそこの吉高由里子は、ウィ〜!👍なノリはそのままに激しく重い葛藤を見事に表現し切った圧巻の演技力。
ドラマとして特出したとこはないけど(ハッキリ言うw)視聴後感は爽やか。締める所をキッチリ締めた安定感ある作品です。
あっ、ひとつだけ。
“ビーフシチューが得意な良妻賢母”設定の真矢みきさんですが、これ絶対生まれてこのかたお米といだこととかないでしょ?っていう調理シーンが大好きでした。
是非見てください。
米をといでる真矢みき。
現場からは以上です😊。