個人的に今注目しているApple TV+。NetflixやAmazonプライム・ビデオに比べて後発となる彼らが、どんな作品で勝負に出るのか。これまで『サーヴァント』『リトル・アメリカ』『ディキンスン』等を視聴したが、どの作品もクリエイティビティが抜群に高い。なるほど、Appleが目指す作品は、洗練されたデザイン性が光るものが多いのだろう。
そして、その中でも目玉作品として発表されたのが本作。どういうドラマかというと、第1話を見るだけでもかなりショッキング。描写がエグいとかではなく、扱うテーマやストーリーが他ではなかなかお目にかかれない攻めた内容なのだ。
この作品は、ニュース番組の男性キャスターにセクハラ疑惑が生じたことから、周囲の人間が追い詰められていく姿を描いている。まさに、「MeToo」問題を描いた社会派サスペンスだ。彼と15年コンビを組んでいた女性キャスターは対応に追われ、男性キャスターはいきなり解雇。「すべて合意の上だ!」とブチ切れるが……
夜中に電話が鳴るシーンから始まり、冒頭からぐっと引きつけるサスペンスや、朝の報道番組がどうやって作られているのか、その全てがわかる作りも面白い。出演陣の演技も凄まじく、アカデミー賞女優リース・ウィザースプーンが激高するシーンなど、圧倒されるだろう。陳腐な言い回しになってしまうが、サスペンスの作り方が抜群にうまく、「これはお金を払って観るべきクオリティだ……」と震わされるというか。共通するテーマを描く実話ドラマ『スキャンダル』はもう少し実話ベースらしい厳粛な雰囲気が漂う(被害者の目線で描いているからこそ、というのもある)が、本作はヒリヒリするような緊迫感が漂い、かなりアップテンポ。自分がテレビの局員になってリアルタイムで修羅場を目撃しているというか……臨場感が凄まじいのだ。
まだ1話を観た段階だから軽はずみなことは言えないが、これはたしかに面白い。何よりレベルが高いから、ぐんぐん引き込まれる。ご興味のある方は、是非どうぞ。