木村拓哉というアイコン俳優が、リアルに才能溢れる有望若手俳優達に教鞭を振るうという構図、大変美味しかった。
つい先日までの『グランメゾン東京』で発揮していた“キムタク感”溢れる演技とは違い、平成ドラマの軌跡を支えてきた俳優・木村拓哉としての演技が見られて、私としては大変美味しい新春スペシャルドラマでした。
しかし、このドラマがまあまあ良かったなぁと思うのは、木村拓哉(私が好きなだけ)だけではない。
この『教場』というドラマは、シンプルな題名とは裏腹に、計5時間程の放送時間を使って警察官の卵達が「お前らマジで警察になる気なの?」と思ってしまうような嫌がらせや不正、時に犯罪を犯していくドロドロ群像劇である。途中から、まだ田舎のヤンキーのほうがコイツらよりマシだろ…と思うようになるが、その辺は辛うじて工藤阿須加の実直ぶりでどうにかカバーされている(阿須加くんに甘い)。
ただ、その出来事一つ一つが独立して起きていたのだが、それをスペシャルドラマで描いたということが、私としては新しく感じた。
元来学園ドラマは(今回は警察学校だけど、学園ものという括りにまとめてみた)例外はあるものの(明日の約束など)、基本的に一話完結で一話毎に特定の生徒をピックアップして、その生徒が起こした出来事と生徒の成長、そして忘れてはならない教師のありがた〜いお言葉を描く。『教場』も、その流れ自体は踏襲しているものの、それをたった二夜の放送で描いてきたのだ。最初見たときは、「これ連ドラでやればいいのに〜〜」と思ったが、見ていくうちに思った。丁度良い。蛇足も無く、くどいお説教も無く、誠に丁度良いのだ。
学生を卒業し、最近傷が治りにくいな〜と思っている私は、学園モノのお説教タイムというものがどうも退屈だった。だって先生のおっしゃってる事って当然のことじゃん…?え?大人にもなってそんなことに感銘を受けてる大人って……え…?と、クソ生意気なことを思ってしまう。しかしこれぐらい、題名と同じくらいシンプルで、余計なサブタイトルも小洒落た横文字もないぐらい真っ直ぐで無駄を削ぎ落としたこれぐらいが、正直私にはとても丁度良い。
なんで、スペシャルドラマとして制作し、良いキャストも集めれてギュッと良さを凝縮してくれたテレビ局の人、とってもグッジョブでした、素敵な時間をありがとうございます。