男性→男性、というドラマはけっして珍しくないが、それはあくまでも男女の恋愛ものが主軸のドラマに、アクセントとして登場することばかりで、こんなにも堂々と男性同士の恋をメインに扱っているドラマは、地上波では私は他に知らない。
本作は、部下に片想いする中年男性の、切なくも笑えるラブコメディー。と思って、軽い気持ちで笑って見ていたら、最後の最後でドーンと沼に突き落とされた、そんな第1話だった。
部長の春田への恋心の描写は、とにかく新鮮で爽快だ。春田隠し撮りコレクションや、バスの車内で春田と身体が触れ合う瞬間、トイレで春田に迫ったり、夜の事務所内で接近するシーンは、笑いなしには見れない。
かと思ったら、病院で春田に抱きつくシーンはなんだか胸キュンし、そしてバラの花束を手に愛の告白に踏み切った時には、その真剣さに、笑いつつもウルウルしてしまった。
そして、ラストで妻に離婚を切り出した時、春田への想いがいかに大きいかが分かり、このドラマは笑いだけではないな、と実感した。
部長というキャラクターに心を奪われていたところに飛び込んできた、牧から春田への告白&キス。画は美しいのに、告白の内容が部長以上に爆笑必須。
牧が春田を好きになることは事前のあらすじで知ってはいたが、こんなにも衝撃的な展開が待っていようとは思ってもいなかった。
ふたりは出会って間もないはずだけど、牧は春田のどこに惹かれたのか。春田の笑顔は魅力的だし、人柄の良さも数日一緒にいればきっとすぐに分かる。牧の気持ちは、一目惚れではないものの、それに近い感情なのかな、と思う。彼は、春田への気持ちが膨れ上がるのが急速すぎて、自分自身でもセーブできなかったのだろう。
牧のあの思い詰めた表情と、理知的なはずの彼には似合わないセリフと衝動的なキス。自分をコントロールできないほどに、春田への想いを悶々と募らせ、そして爆発させてしまったことがよく伝わってくるシーンだった。
恋愛ドラマの王道をいく、まっすぐな告白スタイルで挑んだ部長と、衝動的な行動をとってしまった牧。このふたり、同じ人を好きなのに、愛情の表し方がまるで違う。春田がそれにどう答えていくか、今後の展開が非常に楽しみだ。