世界中で圧倒的な人気を誇るドラマ、『ストレンジャー・シングス』。
今でこそNetflixの看板作品だが、監督のダファー兄弟によると、当初は方々のスタジオから「実現不可能」と断られたという。「子どもが主人公のドラマは受けない」「1980年代を再現するのはコストがかかりすぎる」等々、様々な理由があるそうだが、ふたを開けてみれば爆発的ヒット。Netflixの先見の明をうかがわせるエピソードだ。
現在制作中のシーズン4は、第1話のタイトルが発表されただけでニュースになるほど。ではなぜ、この作品はそんなに面白いのだろう? サクッと考えてみたい。
『ストレンジャー・シングス』が面白い理由
①設定が斬新
②展開の引き込み方が秀逸
③懐かしさがたまらない
④キャラクターが魅力的
…本当は書き切れないほどなのだが、ここでは文字数の関係もあり、4つを紹介したい。これだけ挙げれば他のヒット作と変わらない「売れる条件」を揃えているのだが、ことはそう簡単ではない。なにせ、「ティーンが主人公の異世界SFもの」だ。これだけ聞いたら、爆発的に売れる感じはしないだろう。『ストレンジャー・シングス』は、コケそうな題材を「滅茶苦茶面白い」へと変えた稀有な作品なのだ。
まず①だが、これは「裏側の世界」という概念が面白い。平凡な田舎町に、異界と繋がるトンネルがあり、友だちが消えてしまった……というのが非常に大雑把なあらすじ。日常が徐々に異界に侵食されていくホラーとサスペンスのあおり方が実に巧みで、「次がどうなるの?」と気になってしょうがなくなる。この後の展開を観客に想像させるような「引っ張る」終わり方を「クリフハンガー」と呼ぶのだが、毎エピソード、続きを観ずにはいられなくなるようなサプライズが用意されている(②)。これはNetflixの「全話一挙配信」という特性も利用しており、一気見してしまう人が続出したことで、一大ブームを巻き起こした。
③も、洋画ファンから愛されている理由の一つだ。『ゴーストバスターズ』『グーニーズ』『E.T.
』『ネバーエンディングストーリー』『ターミネーター』など、80~90年代の名作映画の要素が大量に詰め込まれており、映画好きであるほどワクワクする作りになっている。ノリ自体も、エンタメの帝王スピルバーグ監督のエッセンスを感じさせるトーンになっており、見やすい。そこにホラー的な演出が加われば、スリルも倍増。④にあるように、念動力を持つ少女エルや仲良しボーイズなど、『IT』のルーザーズ・クラブが好きな人ならグッとくる人物たちが次々出てくる。(シーズン2で『グーニーズ』のショーン・アスティンが出てくるのがアツい!)
他にも、子役たちが『IT』『ゴジラ』等、軒並みハリウッド大作へと出演。シーズン3には、タランティーノ監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』にも出演しているイーサン・ホークの娘マヤが参戦し、ネクストブレイクスターをチェックできるという意味でも意義深い作品だ。
…とまぁ駆け足で書いたが、やはりこの作品の一番の魅力は「壮絶に面白い」、この一言に尽きる。個人的にはシーズン3の面白さがダントツにヤバいので、ぜひ第1シーズンの第1話だけでも観てみてほしい。多分、気づいたら完走しているはずだ。それほどに中毒性が高い。