ある日日本のどこにでもありそうな地方で突然化学工場の爆発事故が起きた…だけだと思った。でもその直後から何とゾンビが発生してしまうのだ。そしてお約束通りゾンビは人を襲い、町の人間が次々とゾンビに噛まれて「ゾンビ」になる。
NHKなのに、ゾンビは本格的にゾンビで、メイクも動きもマイケルの「スリラー」よりずっとゾンビ。
ゾンビ化すると最初は人間性があって普通に会話もできるのに、どんどん心までゾンビ化して友人も恋人も襲って来る。
彼ら、彼女らは噛まれた直後は痛がる。その内決まって「パイナップルの匂いがする」といい、変にカクカク動き始めてやがてスライムみたいな吐しゃ物を吐いて本格的にゾンビになる。
町中の人間がゾンビ化して人間に、「私」に襲い掛かってくる。
人生投げやりで、白けたように生きてきて、夫に浮気されて実家に帰ったのに居づらくて、高校時代の同級生と３人で暮らしていた主人公の周りまでゾンビは進出してきた。
夫の浮気相手は一緒に暮らしている同級生の一人だとか、もう一人のいい加減に生きてダメ男に騙され続けている同級生には悲しい現実があることを知る。
ゾンビ化した元夫をダミーに使って他のゾンビを欺き食料調達をしたり(コンビニからの窃盗）、宅配業者から個人の荷物を拝借したり(窃盗）生きていくために頑張ることで毎日が楽しくなってくる。非日常が日常になって、それにどんどん馴染んでいく現実。なんか変なのに楽しい気分になる。こんなお話をNHKが真面目に作るなんて！
二言目には「いつ死んでもいい」と言っていた彼女がやがて『親たちに愛されて当たり前』『退屈な毎日が続いて当たり前』が当たり前じゃなくなってその大切さに気付く。
ついついのめり込みました。
最後は政府が『無かったことにするために』町を爆撃しせん滅しようとする。3.11直前に放映されたこのドラマ、いろんな事を思ったのは私だけではないはずです。