全話通して気持ちの良い、そして『ドラマBiz』の看板に相応しいドラマでございました。
病院が舞台であっても、経営のお話し。
それでも全く小難しく感じず、どちらかと言えば「病院だって、慈善事業ではなく“経営”していかなくてはならない」ということをよく理解できる内容でもありました。
それには、登場人物の描写がとてもわかりやすく且つ愛着の湧くキャラクターになっていたことも大きかったですね。
小泉孝太郎さんが演じる有原院長は、暴走キャラ。だがしかし、その行動には明確なビジョンがあり信念がありました。
それ故、無謀な人にも感じませんでしたし、孤高のヒーロでもありませんでした。
むしろ、既得権益に固執するドクターや周囲の人々に比べて超ホワイト経営者。
それでも、24時間365日体制を強行した時は若干働く人たちのことは気になりましたけどね。
患者の立場からすれば、有難いことです。
その他、地域ネットワークの構築や救命救急の確立など、「こうあって欲しい」ということを決してキレイ事だけで描かずに元銀行員である倉嶋さん(高嶋政伸さん)が自分の目線でしっかりと意見したり、“人との結びつき”の積み重ねもありつつ展開していったところも問題が解決した時のスッキリ感に繋がった部分でもありました。
何より、有原院長を輝かせたのは彼に惹かれて銀行を辞め、病院の事務長となり支え続けた倉嶋を演じた高嶋政伸さんのとても演技が大きかった。
悪役ではない高嶋さんの演技が久し振りであるというお話しは以前の口コミでも書かせていただきましたが、こういう高嶋さんもまた味がありました。
主人公を輝かせる二番手以降の俳優さんたちの演技は、ドラマにとっては本当にかけがえのないもの。
オーソドックスではありますが、やはり基本的な骨組みができている作品は見やすく感情移入もしやすいものだとしみじみと感じました。
これを機に高嶋さんの色んな役柄が観られると、またドラマを観る楽しみが増えるかもしれませんね。
次にどんなドラマでどんな役柄を演じられるか、ちょっと期待して待ちたいと思います。
また怖い役でも、今までとはちょっと違った気持ちで観られるような気がするなぁ。
最終回では、ついに最大の危機を迎えた有原総合病院。
ずっと支え続けてくれたメインバンクの副頭取・米田(中村雅俊さん)の突然の死。
以前から有原総合病院の買収を狙っていた田所(池田成志さん)の策略にハマり、銀行からの追加融資は打ち切られ、病院が潰れるという噂を流されたりと追い詰められてしまいました。
さすがの有原も、売却の決意を固めたところへ救世主が・・・!
光石研さん、カッコ良かったです!(笑)
今まで院長に良い顔をしなかったドクターたちも、地域医療ネットワークに参加している町の医院の人たちも一丸となって動き、ここまでのお話しが1つに集約された良い最終回になりました。
まあ、多少のご都合主義と駆け足感が皆無だったとはいいませんが・・・。
それでも清々しい気持ちになれたことも間違いありません。
院長と倉嶋さんの奥さん2人(小西真奈美さん・菜葉菜さん)もかなりのナイスアシストで微笑ましかった。
看護部長役の浅田美代子さんの落ち着いた雰囲気もとても効果的だったし、砂岡役の福本伸一さんの素朴なキャラもかなりのお気に入りでした(笑)
一番好きだった回は、外来クラークの江口くん(稲葉友さん)が、一生懸命地域医療ネットワークのために奔走した第5話。
ああいうベタだけど、何かを成し遂げる展開ってワクワクできて楽しいしスカっとできる。
あの回の高嶋さんの演技も、良かったしなぁ・・・。
欲を言えば、もう少し片桐仁さんに活躍して欲しかったかな。
ストーリー展開に関しては好みもあるとは思いますが、高嶋さんの起用でもわかるようにキャストの使い方がとても誠実なドラマだったところが本当に好きでした。
心の闇を描くドラマが多い中で、清々しい風が心に吹いたような楽しい時間を過ごせるドラマは本当に貴重。
ここのところちょっと『ドラマBiz』の作品はあまりハマれないものが続いていたのですが、これは良かった。
個人的に一番好きなのは第1作目の「ヘッドハンター」なのですが、それに匹敵するくらい好印象なドラマとなりました。(「ハラスメントゲーム」や「スパイラル」も好きです)
この枠のコンセプトがハッキリしているところが非常に気に入っているので、是非今後も頑張って良い作品を作り続けて欲しいなと思います。
次回作、主演は鈴木京香さん。
今まで女性が主人公の作品は今ひとつな印象のものが多かったので、今度こそ!と期待したいと思います。