女性活躍社会とか女性が輝く社会とか美名が横行しているが、現実社会は、もっとドロドロしたもの。銀行の頭取が銀行のイメージアップの為に女性の管理職登用のアドバルーンを上げ、象徴的に抜擢されたのが主人公の原島だが、この背後には次期頭取の椅子を狙う副頭取一派の野望が渦巻いている。
原島がかつて銀行の不正を内部告発しようとして、それを抑え込んだのが当時の人事部長で、今の副頭取の島津であり、原島の前で土下座までして内部告発を思い留まらせた屈辱が忘れられない。今度は、島津は江東支店に送り込まれた原島がトラブルを起こすことを期待して最終的に頭取の責任問題にしようと目論むのであった。女性活躍の美名の裏には、男たちの激しい権力闘争の陰謀がうごめいていた。銀行にとっては、原島が、とんでもない爆弾娘になるのか、或いは業績不振の江東支店のホワイトナイトになるのか行内の注目を浴びるのである。
しかし着任した江東支店では、部下からも怪訝な目で見られ、いきなり四面楚歌に陥る。しかも、原島が支店長らの前で、ライバル銀行が抑えている大口の新規得意先である紳和商事を1ケ月で獲得しなければ支店の周りを逆立ちして回るとまで宣言してヒヤヒヤさせる。
しかし乗り込んだ紳和商事の社長に原島が、かつて自分の職場の内部告発をしようとした過去を指摘され、人間として信用できないとまで言われ、窮地に陥る。
もはや原島の運命も尽きたと思いきや、ライバル銀行が進める中国企業とのMaAの調印の日に、会場に乗り込んで相手企業の嘘を暴露して調印を止めさせ、騙されそうになった紳和商事の社長の信頼を勝ち取り、「おそれながら申し上げます」の決めセリフで会社の社長人事まで仕切ってしまう鮮やかな逆転劇にスカッとさせられたドラマである。
原島が頭取の期待に応えるのか、はたまた副頭取の「期待」に応えるのか、今後の展開から眼が離せない。