川藤（佐藤隆太）がとにかく情熱的である作品。不良もの、という部類で見られるかもしれないが、連載が少年ジャンプということもあって、原作と違う部分はもちろんあれど、直接的な乱闘シーンは殆ど無い。それこそ過去のコンプレックスとして乱闘事件を抱えているニコガクだが、そのコンプレックス、過去の苦しみをいかに乗り越えるかということが描かれている。バットを持って部員が喧嘩に行こうとするシーンで川藤が「バットは置いていけ。」と言っていたのも印象的だ。あまり不良ものという感じはしない。

私は本作に大きな好感を頂いたが、少年ジャンプのキーワードである、「友情」「努力」「勝利」という要素、更に「情熱」「葛藤」「信頼」「夢」などなどポジティブな要素の集合体の作品だったからだと思う。
今でこそ非常に有名になっている若手俳優だった方々が演じる個性あふれるチームをひたすらに熱い川藤が引っ張り、全体で成長していく。そして苦しみながら勝利する。世界観に引き込まれ、鳥肌が立つようなシーンが何度もあった。

ドラマ化の裏で作者が川藤をどうしても佐藤隆太に任せるために、演じられる年齢になるまでプロジェクトを温めていたと聞く。その想いの強さに遜色ない名作となったのではないだろうか。