精神科医師(松岡昌宏)と婚約中の女医・北澤尚(戸田恵梨香)。
新居への引っ越しの際、引越しスタッフの間宮真司(ムロツヨシ)と出会い、実は彼が尚の敬愛する小説の小説家だったところから二人は急接近するというスタートだった。
主人公・奈緒の心の変化、病状の変化が一気に描かれる第1話。ドラマ開始1分で戸田恵梨香さんの美しいウェディングドレスが拝め、さらにはTOKIO松岡昌宏さんとのベッドシーンまでもがサラリと描かれる。そしてムロツヨシさんを情熱的なキス攻撃で誘惑する戸田さんまでもがこの第1話に凝縮されているのだ。ただ、変に盛り上げようとBGMが入ることも細かいカットが繰り返されることもない地味な作りで、淡々と恋に落ちていく二人が描かれるので、見ていて恥ずかしくならない年配受けしそうなラブストーリーだと感じた。
個人的には引越し屋の上司役であるサンドウィッチマン冨澤たけしがいい味出してて(普段のムロさんのポジションはここだよね笑)恋をけしかけておきながら実際にうまく行き始めると面白くなさそうな顔になるところとかクスッと笑えた。
戸田さんの見せ場連続で「何もそこまで急がなくてももっと小出しにすればいいのに…」とこの先を案じたくなるほどでしたが、このドラマが描きたいテーマは別にあるからだ。副題にもあるように第2話からは「若年性アルツハイマー病」によって自分を忘れていく恋人を愛し続けることができるのかという問いへの答えが描かれていく。進行していく病に対して、奈緒は、周りはどう立ち向かっていくのか。そこにはどんなドラマが待っているのか。原作なしのオリジナル脚本ということで先の読めない展開も楽しみな作品である。
ただ正直どうしてそんなにまで間宮真司への恋心に傾倒してしまうのか理解に苦しむという視聴者は多かったはずだ。もう少し共感できる理由が欲しかったという意味でストーリー評価は3である。
印象に残ったセリフとしては1話終盤の間宮のナレーションだ。
「人は誰しも残りの待ち時間に追われている。死に向かって走っている。そのことを意識している人は少ない。」
確かにその通りだ。ゆっくり丁寧に生きることが出来ない現代。私も保育園のお迎え時間とにらめっこしながらドラマレビューを急いでいる。急がなければ回らない日々に油を注いでくれる作品となることを期待したい。