外国からの日本への圧力が強まり、今こそ政治体制を一橋慶喜を中心に据えて改革したいと考えた薩摩藩が、大奥を一橋慶喜支持に変えるため、篤姫を将軍徳川家定の妻とした。こんな経緯が背景にある複雑な役どころを、運命を受け入れ、毅然とした立ち振る舞えで演じた北川景子さんは見事だった。夫の将軍家定は病弱で子を授かるチャンスはないことも承知した上で、女性に生まれた幸せを無くしても、薩摩藩藩主島津斉彬のために尽力しようとしている姿が北川さんを通じて存分に伝わった。一方西郷吉之助との海辺でのシーンでは、こらえて来た感情が素直にあふれ出た演技も見事だった。この役どころを演じて、これまでとは違った北川さんの女優の味を感じた。薩摩方言もうまかった。