【SYO(映画ライター)さんの視聴ドラマの口コミ・感想・評価一覧】

  • ユニークライフ シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    懸命に、恋に生きる

    “誰か”をずっと探している。それは恋人でも、友人でも、オンラインでもリアルでもいい。人は、人を想うものだ。いつだって心のどこかで理解者を探している。

    そんな当たり前の慕情を、優しく描いたド...
    続きを読む “誰か”をずっと探している。それは恋人でも、友人でも、オンラインでもリアルでもいい。人は、人を想うものだ。いつだって心のどこかで理解者を探している。

    そんな当たり前の慕情を、優しく描いたドラマ。それが『ユニークライフ』だ。主人公は、自閉症スペクトラム障害を抱える青年。恋に憧れつつ、なかなかうまくいかなくてもどかしくて、人を傷つけてしまって自分も傷ついて……ほろ苦い経験に苦しむ。自閉症との闘いは大変で、自分が思った通りに人と接することがなかなかできない。でも、心配性な母親や不器用な父親、しっかり者の妹がついていてくれる。

    このドラマは、主人公が成長していくストーリーではあれど、身の周りに当たり前のようにあった優しさに気づいていく過程も描いている。個人的には、それがとても素敵だと思うのだ。自分が生きているということは、周囲に生かされているということでもある。沢山の善意に囲まれていて、心が疲れたときなんかにこの作品を観ると、「温かいなぁ」とほっこりする。

    主人公が親しみやすいキャラクターなのも好印象。ペンギンと南極を愛する彼は、比喩表現や忖度することが苦手。ストレートな物言いで女性を傷つけてしまうこともしばしば。でも、実は誰よりも傷つきやすい人物。そして、一生懸命だ。自分の欠点を克服しようと努力するし、いつも他者を愛し愛されようとしている。その部分がしっかりと描かれているからこそ、観る側も自然と応援できる。

    『Love,サイモン』や『スウィート17モンスターズ』『セックス・エデュケーション』など、悩みながら成長していく青春映画やドラマは近年ますます素晴らしい作品が増えてきた。本作もまたその系譜にありながら、それでいてやっぱりあったかい。
  • ザモーニングショー

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    当事者感がずば抜けている緊迫ドラマ

    個人的に今注目しているApple TV+。NetflixやAmazonプライム・ビデオに比べて後発となる彼らが、どんな作品で勝負に出るのか。これまで『サーヴァント』『リトル・アメリカ』『ディキン... 続きを読む 個人的に今注目しているApple TV+。NetflixやAmazonプライム・ビデオに比べて後発となる彼らが、どんな作品で勝負に出るのか。これまで『サーヴァント』『リトル・アメリカ』『ディキンスン』等を視聴したが、どの作品もクリエイティビティが抜群に高い。なるほど、Appleが目指す作品は、洗練されたデザイン性が光るものが多いのだろう。

    そして、その中でも目玉作品として発表されたのが本作。どういうドラマかというと、第1話を見るだけでもかなりショッキング。描写がエグいとかではなく、扱うテーマやストーリーが他ではなかなかお目にかかれない攻めた内容なのだ。

    この作品は、ニュース番組の男性キャスターにセクハラ疑惑が生じたことから、周囲の人間が追い詰められていく姿を描いている。まさに、「MeToo」問題を描いた社会派サスペンスだ。彼と15年コンビを組んでいた女性キャスターは対応に追われ、男性キャスターはいきなり解雇。「すべて合意の上だ!」とブチ切れるが……

    夜中に電話が鳴るシーンから始まり、冒頭からぐっと引きつけるサスペンスや、朝の報道番組がどうやって作られているのか、その全てがわかる作りも面白い。出演陣の演技も凄まじく、アカデミー賞女優リース・ウィザースプーンが激高するシーンなど、圧倒されるだろう。陳腐な言い回しになってしまうが、サスペンスの作り方が抜群にうまく、「これはお金を払って観るべきクオリティだ……」と震わされるというか。共通するテーマを描く実話ドラマ『スキャンダル』はもう少し実話ベースらしい厳粛な雰囲気が漂う(被害者の目線で描いているからこそ、というのもある)が、本作はヒリヒリするような緊迫感が漂い、かなりアップテンポ。自分がテレビの局員になってリアルタイムで修羅場を目撃しているというか……臨場感が凄まじいのだ。

    まだ1話を観た段階だから軽はずみなことは言えないが、これはたしかに面白い。何よりレベルが高いから、ぐんぐん引き込まれる。ご興味のある方は、是非どうぞ。
  • トゥルー・ディテクティブ/二人の刑事 シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    最高レベルの面白さ

    面白いドラマは?と聞かれたら、真っ先にお勧めする作品がある。『TRUE DETECTIVE』だ。このドラマは特殊な構成になっていて、シーズンごとに物語も登場人物も変わる。僕が薦めたいのはシーズン... 続きを読む 面白いドラマは?と聞かれたら、真っ先にお勧めする作品がある。『TRUE DETECTIVE』だ。このドラマは特殊な構成になっていて、シーズンごとに物語も登場人物も変わる。僕が薦めたいのはシーズン1。

    『007』の新作を手掛けることになったキャリー・ジョージ・フクナガが監督、『インターステラー』のマシュー・マコノヒーと『スリー・ビルボード』のウディ・ハレルソンがいがみ合う刑事コンビを演じた本作。この布陣がもう完璧だ。

    そして、構造もかなり凝っている。2人が取り調べを受けるシーンから始まるのだ。この作品は、現在→過去→現在と流れる作りになっていて、ある事件によって心に傷を負った刑事コンビが、再び手を組んで凶悪犯を負うというストーリーになっている。サスペンスとミステリー、人間ドラマの兼ね合いが絶妙なのだ。

    ただの回想形式ではなく、活力にあふれていた2人(過去)が事件で壊れ(現在)、ボロボロになった状態で再会し、再び組む(未来)というプロセスがかなりグッとくる。ミステリー自体も、謎の儀式を行う猟奇殺人事件×田舎×複雑化する展開と、ミステリー好きにはたまらない要素が多々。

    そしてもう一個特筆すべきところは、中盤に用意された驚異的なワンカットのシーン。暗闇の中で強制捜査するシーンを銃撃戦込みで描いているのだが、『1917 命をかけた伝令』を観ておおっと思った方には、ぜひご覧いただきたい衝撃的&迫力のシーンになっている。

    マシューとウディの演技対決は必見だし、脚本も演出も見事。今観ると熱い『007』監督×ワンカットという要素もある。オススメです。
  • ユーフォリア

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    過激スタイリッシュな世界観に溺れる


    『ムーンライト』『レディ・バード』『ミッドサマー』等を製作したA24が、『ゲーム・オブ・スローンズ』のHBOとコラボしたドラマ。
    こう聞いただけでも、凄そう……という感覚になるかと思う。中...
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    『ムーンライト』『レディ・バード』『ミッドサマー』等を製作したA24が、『ゲーム・オブ・スローンズ』のHBOとコラボしたドラマ。
    こう聞いただけでも、凄そう……という感覚になるかと思う。中身は、もっと強烈。過激なストーリーとスタイリッシュな映像が随所に炸裂する。

    タイトルのユーフォリアとは、多幸感の意味。幸せになりたい高校生たちが、セックスやドラッグ、バイオレンスに溺れていく青春群像劇だ。端的に言うと、下半身も吐瀉物も全部見せちゃう系の作品。にも関わらず、芸術性が抜群に高い。シリアスなストーリーとアーティスティックな映像がマッチしていて、ファッションショーを見ているような気持ちにさえなる。

    『スパイダーマン』『グレイテスト・ショーマン』のゼンデイヤが、麻薬中毒者を体当たりで演じて従来のイメージを覆す汚れ役に。他にも、自分の性的アイデンティティに悩む男子や、セックス依存症気味の女子などが続々と登場。SNS世代の高校生が過ごす破滅的な青春が、ヒップホップやパーティーミュージック、ネオン色の映像の中で展開する。

    ストーリー云々より(勿論面白いのだが)、まず予告編で良いのでこの世界観を体験してみてほしい。クセになる方は多いと思う。個人的に推したいのは、やはりこの独創的な映像だ。

    よく「トリップする」というが、このドラマはまさにそれで、観ているうちに平衡感覚が狂っていくというか、安全地帯から遠くに飛ばされてしまう。この不安定さが非常に面白い。なかなか他の作品では味わえない感覚だし、ドラマが物語と映像で構成されているのだ、という当たり前の事実に気づかされる。特に映像がここまで尖った作品はなかなかないからこそ、ヤバいなこれ…とゾクゾクさせられるだろう。

    物は試しに、ぜひ挑戦していただきたい。
  • ディキンスン ~若き女性詩人の憂鬱~ シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    限りなく「今」な伝記ドラマ

    常識を、壊す。実にAppleらしい、新鮮な伝記ドラマだ。
    本作は、詩人エミリー・ディキンソンの若き日を描いたもの。生前は無名だったが、死後に作品が発表されると世界中で激賞を浴びたドラマティック...
    続きを読む 常識を、壊す。実にAppleらしい、新鮮な伝記ドラマだ。
    本作は、詩人エミリー・ディキンソンの若き日を描いたもの。生前は無名だったが、死後に作品が発表されると世界中で激賞を浴びたドラマティックな人物だ。彼女の名前は今も、文学史に燦然と輝いている。

    ただ、この作品は彼女の青春を文学的に畏って描いてはいない。むしろその逆で、書くことが大好きで自由を愛し、お行儀が悪くてお転婆で、窮屈なオリの中でもがいている非常に現代的なヒロインとして描いている。

    主演に『スウィート17モンスター』や『はじまりのうた』『バンブルビー』のヘイリー・スタインフェルドを起用した点も上手い。彼女は世界的なシンガーでありながら、「くすぶっている女子」を演じるのが抜群にハマっているのだ。監督は、デヴィッド・ゴードン・グリーン。『ボストン・ストロング』『ハロウィン』等、注目作を手掛ける俊英だ。この2つの若き才能が混ぜ合わさった『ディキンスン ~若き女性詩人の憂鬱~』は、実に新しい。

    劇中ではヒップホップが流れ、歴史ものとのギャップが痛快。エミリーの妄想の世界が具現化された「死の使い」が乗る馬車は、『ハリー・ポッター』的ファンタジーの要素が入り、あっけらかんとLGBTQの描写がなされる。結婚を強要され、家事ばかりさせられる女性の立場の低さ、詩人としての才能がありながらも世に出ることを許されない不遇など、社会的なテーマも内包。何も隠すことなく、全部見せる。とても気持ちがいい。

    たとえば、これ見よがしに「昔の人物を現代化しました!」という作りの作品ならきっと、鼻についてしまっただろう。だが本作は、作品に流れる感性自体が等身大で、嫌みがない。『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』と共に観るのも面白そうな一作だ。
  • トレッドストーン シーズン1

    4.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    『ボーン』シリーズのDNA


    『ボーン』シリーズは、ゼロ年代のアクション映画に変革を起こした存在だ。徹底的なリアル志向に振り切り、「その場のものを武器にする」戦闘スタイルや、あえて狭い場所での肉弾戦を設定。かと思えばパル...
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    『ボーン』シリーズは、ゼロ年代のアクション映画に変革を起こした存在だ。徹底的なリアル志向に振り切り、「その場のものを武器にする」戦闘スタイルや、あえて狭い場所での肉弾戦を設定。かと思えばパルクール的アクロバティックなアクションも導入。

    これまでにあった「魅せる」偏向のアクション映画とは一線を画したスタイルは、今もなお連綿と受け継がれている。『007』などもこの系譜にあるし、『キャプテン・アメリカ』のバトルシーンにもその影響が見られる。

    同時に、本作は「記憶喪失」がテーマになっていて、自分が何者か=アイデンティティを探す、というのが重要だった。リアルなアクションと無くした記憶を巡るサスペンス要素、この2つの面白さを引き継いだドラマが、『トレッドストーン』だ。

    本作は、『ボーン』シリーズの主人公が巻き込まれたCIAの人間兵器の作成プログラムを題材にしている。その名もトレッドストーン作戦。これが再始動したことで、新たな事件が世界で頻繁する、という物語だ。

    興味深いのは、第一話の時点で『ボーン』シリーズの面白さが凝縮されている点。北朝鮮の主婦やアラスカの作業員など、ごく普通の人々(ただし過去の記憶がない)が、失われた記憶を掘り起こされることで最強兵士へと覚醒していく。さっきまで市井の人々だったのに、急に激しいアクションをこなせちゃうところとか、ギャップがまさに『ボーン』シリーズだし、世界各地を舞台にしているところもそう。スリリングなテンポや、追い立てるようなカメラワークもシリーズの「らしさ」がちゃんと出ている。

    『ボーン』シリーズが大好きなだけに、どう繋ぐのか気がかりではあったのだけど、これは確かにファン心理をついた作品になっていると感じた。
  • リトル・アメリカ シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    たった30分で心が温まる


    1話約30分。各話が独立したエピソード。共通するテーマは、「アメリカで暮らす移民」。『モダン・ラブ』を彷彿させる、実話をもとにしたヒューマンドラマだ。

    本作の魅力は、上に挙げたような「...
    続きを読む
    1話約30分。各話が独立したエピソード。共通するテーマは、「アメリカで暮らす移民」。『モダン・ラブ』を彷彿させる、実話をもとにしたヒューマンドラマだ。

    本作の魅力は、上に挙げたような「気軽に観られる」設計もさることながら、一言で言うと「良い話」であること。まぁ泣けるし、アカデミー賞候補になった『ビッグ・シック』チームの作品のためクオリティも高いし、心がとても温まる。30分でこれだけのフィードバックがあるなんて、相当コスパの良いドラマだ。

    ネタバレを避けつつ、各エピソードを簡単に説明しよう。前半3話でそれぞれ描かれるのは、モーテルを経営するインド人の家族、ガレージで暮らすメキシコ系の女子高生、アメリカの大学に通う今後の男子学生の物語。

    全員が、アメリカにやってきて苦しい思いをしながらも、素敵な出会いによって幸せも感じ、前に歩き出していく。

    インド人の少年は、両親が祖国に強制送還されてしまい1人でモーテルを経営することに。メキシコ系の女子高生は、貧乏であることを恥じて周囲に壁を作っていたが、スカッシュとの出会いで喜びを見出し、スポーツにのめり込んでいく。コンゴの男子学生は、率直すぎる性格が災いして大学で浮いていたが、カウボーイへの憧れが異国に溶け込む助けになる。

    移民の話、と書くと社会性の高い、ちょっと小難しい話に思えてしまうかもしれないが、本作は誰でも気軽に観られて、心がじんわりするいい話。人の優しさや頑張りをしっかり描いているから勇気ももらえるし、何度も言うが全体を通してクオリティが相当高いのでオススメです。

    日常の隙間に、そっと寄り添ってくれるような素敵なドラマ。
  • サーヴァント ターナー家の子守 シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    底知れぬほど恐ろしく面白い

    1話約30分。だが、近年最も鳥肌が立ったドラマだ。底知れぬほど恐ろしい。

    ある秘密を抱えた夫婦の元にやってきた子守りの女性。住み込みで働くことになった彼女は、口数も少なくどこか怪しい……。...
    続きを読む 1話約30分。だが、近年最も鳥肌が立ったドラマだ。底知れぬほど恐ろしい。

    ある秘密を抱えた夫婦の元にやってきた子守りの女性。住み込みで働くことになった彼女は、口数も少なくどこか怪しい……。第1話の冒頭は、こんなシーンから始まる。『パラサイト 半地下の家族』でもそうだったが、家庭内に他人が入り込む気味の悪さがじっとりと描かれ、明らかに嫌なことが起きそうな「予感」が観る者をゾクゾクとさせることだろう。

    予告編にも描かれているため書いてしまうが、夫婦の秘密とは、妻が病気だということ。生後間もなく子どもが亡くなってしまった現実を受け入れられず、人形を赤ちゃんだと思い込んでいる妻。セラピーの一環だというが、哀愁を誘いつつもそこはかとない怖さが続く。人形を必死にあやす妻がいたたまれなくて見ていられない……。傷心の夫は、妻を治したい気持ちと彼女の秘密を隠したいという想いから、子守りを住み込みで雇うことにしたのだ。

    つまりこの時点で、正常:夫&子守 異常:妻 の関係性が成立する。はずだったのだが……子守の女性はうろたえることなく「大丈夫です」と答え、妻が仕事に出ている間も本当の子どものように接する。自宅が職場である夫は、子守の女性が次第に恐ろしくなっていく。当てが外れて 正常:夫 異常:妻&子守 という関係性に変容するとき、この作品の本性がゆっくりと顔を出し、スリラーがホラーへと移行していくのだ。

    本作を作ったのは、『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン。製作総指揮と2エピソードぶんの監督を務めている。静かな映像の中にビクッとするシーンを入れてくるなどスリラーの名手だったが、彼が手掛けた作品の中でも洗練度という点では群を抜いている。

    上に挙げたような「え、嘘」となる演出のうまさに、『へレディタリー』のようなトリッキーな近代ホラーの演出を混ぜ込んでいる。注目すべきは、何と言ってもカメラワーク。かつてデヴィッド・フィンチャー監督は『パニック・ルーム』で家の中を画期的な映像で表現したが、本作では「機械的に横移動するカメラ」「明らかに意思をもって蠢くカメラ」など、予測のつかない動き(機械っぽさと生っぽさの融合も気味が悪い)をすることで、観客に一切安心する隙を与えてくれない。

    ちなみに、撮影監督のマイク・ジオラキスは『イット・フォローズ』『アス』も手掛けた人物。いずれも、スリラーとホラーがミックスした作品であり、映像が非常に重要な役割を担っている。シャマラン監督とも『スプリット』などで組んでいる。映像フェチ的には、それだけで観る価値がある作品だということがわかるだろう。

    ものすごく面白いドラマであることは明白だが、映画好きとしてもたまらないメンバーがそろっている。ちなみに、妻の弟を演じているのは『ハリー・ポッター』シリーズのロン役ルパート・グリントだ。

    あくまで僕個人の感覚だが、Apple TV+の圧倒的パワーを痛感させられた大傑作。ご興味のある方は、是非チェックしてみてほしい。
  • ドラキュラ伯爵 第1話

    4.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    『SHERLOCK』チームの技が光る

    あの『SHERLOCK』の製作陣が新作を作る……ということでワクワクしていたら、出てきたのはなんとドラキュラ伝説のドラマ化。これはなかなか唆る企画だ。

    ドラキュラといえば、誰もが知っている...
    続きを読む あの『SHERLOCK』の製作陣が新作を作る……ということでワクワクしていたら、出てきたのはなんとドラキュラ伝説のドラマ化。これはなかなか唆る企画だ。

    ドラキュラといえば、誰もが知っている存在。美女の血を吸って永遠に生きる貴族……その後、「吸血鬼」という言葉は様々な創作物に影響を与えた。『インタビュー・ウィズ・バンパイア』も『トワイライト』シリーズも、『ジョジョ』や『鬼滅の刃』も吸血鬼モチーフだ。マーベルの新作『モービウス』もそう。そんな有名すぎるキャラに、どう新味を足すというのか?

    シャーロック・ホームズを現代アレンジして伝説を打ち立てたチームは、今回も「なるほど……」というアプローチをやってのけた。それは「伝統」と「異端」の掛け合わせだ。

    まずはこの「伝統」の部分。考えてみれば、ドラキュラよりも吸血鬼の方がメジャーになった昨今、本流の影は薄くなっているのかもしれない。そこをしっかり再喚起させるために、往年のドラキュラ映画の質感を踏襲し、ゴシックホラー全開で見せる。洋館、謎の主人、おどろおどろしい雰囲気……そして、ドラキュラの設定を丁寧に見せていく作りも興味深い。

    ただそこに「異端」が組み合わさると、作品が一気に独自性を帯び始める。目を引かれるのは冒頭だ。生きるしかばねのようになった男。彼は、ドラキュラ伯爵の元から命からがら逃げ出してきたという。物語は彼の「告白」という形で幕を開け、生命力に溢れた彼がどんどんと置いていく姿と、老人のようだったドラキュラ伯爵が若返っていく姿を反比例で描く。被害者の視点で描かれるのはミステリー要素を増加させ、観るものをグイグイと引き込んで面白い。

    『SHERLOCK』と同じ90分×3話の作りなのだが、2話以降はドラキュラ伯爵の冒険が描かれる。これもなかなかお目にかかったことがなく、こう来たか!と思わされる。

    現代ホラーとはまた違った風味の本作。古典のアレンジという意味でも、作り手の工夫が感じられる快作だ。
  • YOU ー君がすべてー シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    ストーカーの純愛…斬新な面白さ!

    不道徳なのに、引き付けられる。残虐なのにピュア。実に斬新なドラマだ。1話を観れば、のめり込んでしまうに違いない。

    端的に言うと、本作は「ストーカーと美女のラブストーリー」になる。書店員の主...
    続きを読む 不道徳なのに、引き付けられる。残虐なのにピュア。実に斬新なドラマだ。1話を観れば、のめり込んでしまうに違いない。

    端的に言うと、本作は「ストーカーと美女のラブストーリー」になる。書店員の主人公が、店を訪れた美人に惹かれる……というところまでは王道のラブストーリーなのだが、開始数分でその前提は崩れる。

    主人公が「心の声」をモノローグ形式でひっきりなしに語る作品なのだが、美女がクレジットカードを出したら「僕に名前を知ってほしいのか?」と考えるなど、なかなか妄想癖が強い。ちょっとした気持ち悪さが漂うオープニングを経て、帰宅した彼は、美女の情報を元にエゴサを開始。インスタ等から嗜好や交友関係、果ては自宅までも突き止めてストーキングを開始する。

    恐ろしいのは、彼にとって罪の意識がないことだ。それどころか、「彼氏がクズ」「職場の上司に言い寄られている」という問題を抱えた彼女を、正しい方向=自分と付き合うことに「矯正」しようとする。まずは邪魔な彼氏を呼び出して……

    とまぁここまで書くとSNSの恐怖を描いたサイコサスペンスにしか見えないかもしれないのだが、『YOU』の特異性はここからだ。それは、冒頭にも述べたラブストーリーの部分。主人公はあくまで彼女に純粋な恋心を抱いている。しかし、彼女の中では彼は「友だち」。恋愛対象になかなか入れない……というもどかしい展開が続くのだ。そんな時に落ち込んだりしょぼくれたりする主人公は実に人間味に溢れていて(サイコパスなのに!)、観る者に不思議な感覚を与える。共感してはいけないと思いつつ、同調してしまうような……
    また、やり方は決して許されないのだが、1人の薄幸な女性の騎士となろうとする想い自体は美しいものだし、好きな女性のために身を粉にして頑張る部分は好感が持てる。周りのクズ男か、隣のサイコパスか。どちらが彼女にとって幸せなのかを問う物語でもあるのだ。

    1話2話でも物語がサクサク進み、次々に新たな展開が待ち受ける点も魅力。シーズン2も始まったばかりなので、ぜひ一度試していただきたい。
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