【SYO(映画ライター)さんの視聴ドラマの口コミ・感想・評価一覧】

  • 私の"初めて"日記

    4.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    Netflixの「型」が丸わかり

    個人的に、Netflixのオリジナルドラマにはいくつかの「型」があると感じている。そのうちの1つが「マイノリティを根アカなテンションで描く」だと思う。特に青春モノでこの傾向が強い。『このサイテー... 続きを読む 個人的に、Netflixのオリジナルドラマにはいくつかの「型」があると感じている。そのうちの1つが「マイノリティを根アカなテンションで描く」だと思う。特に青春モノでこの傾向が強い。『このサイテーな世界の終わり』も『セックス・エデュケーション』も『YOU』も『ノット・オーケー』もみんなそう。このカラーはNetflix特有のものとして、今後も続いていきそうだ。

    その最前線といえるのが、この『私の"初めて"日記』だ。インド系の女子高生をヒロインにした本作は、「父の死&精神的な影響による車いす生活」から復帰した彼女が、イケてる女子になって彼氏を作ろうとするお話。前提条件がわりと壮絶なのだが、Netflixならではのテンションでポップに描く。ナレーションがジョーク交じりに語り、サクサク進めていくことで笑いに変える、という演出が大きい(ここもNetflix節)。

    ヒロインの女子は精神的にちょっと不安定で、いわゆる「怒りが抑えられない」クチ。むしゃくしゃすると物を投げてしまったり、絶叫したり……。さらに、インド系アメリカ人であるという「マイノリティ=少数派」が、この作品のキーポイントになっている。Netflixは今人気の『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』然り、ダイバーシティに積極的だ。人種的ルーツがアメリカ人以外の人物を主人公に据え、多様性を描く。

    この作品で面白いのは、メインの舞台となる学校のクラスが「多国籍」であるということ。ユダヤ人にインド人、メキシコ人、中国人など……こういった設定は、確かに今まではなかったかもしれない。むしろ、これまでこういった部分が描かれてなかったこと自体が一つの問題ともいえよう。そして、Netflixがマイノリティ描写を「売り」にすることは、まだまだ真の意味でのダイバーシティは時間がかかりそうだな、という気にもさせられる。

    とはいえ、本作はザッツNetflixドラマとして非常に見やすく、インド系ならではのジレンマも描かれ、等身大の青春ドラマとして質が高い。一つの作品としても、Netflixオリジナル作品の「型」を観る意味でも、意義深い作品だ。
  • ジ・エディ

    4.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    『ラ・ラ・ランド』好きが観ると……


    日本でも圧倒的な人気を誇る『ラ・ラ・ランド』は、ライトな洋画ファンにも愛されている一作だ。華やかなミュージカルシーン、切ないラブストーリー、涙なしでは観られないラスト……。本作をきっかけに、...
    続きを読む
    日本でも圧倒的な人気を誇る『ラ・ラ・ランド』は、ライトな洋画ファンにも愛されている一作だ。華やかなミュージカルシーン、切ないラブストーリー、涙なしでは観られないラスト……。本作をきっかけに、洋画にハマった方も多いだろう。

    『ラ・ラ・ランド』を手掛けたのは、若手監督デイミアン・チャゼル。音楽への造詣が深く、かつてはジャズミュージシャンを目指していた彼の作品は、音楽学校に入った青年と教師の対決を描く『セッション』、宇宙飛行士の実話『ファーストマン』など、音へのこだわりが強く感じられる。

    そして今年、彼の新作がNetflixで公開された。ジャズクラブのオーナーを主人公に据えた『ジ・エディ』だ。ジャズクラブのオーナーといえば、『ラ・ラ・ランド』のセブが憧れていたポジション。そういった意味でも、『ラ・ラ・ランド』ファンにはうれしい設定ではないだろうか。

    が、しかし、『ラ・ラ・ランド』ファンの目線でこの作品を観ると、結構グサッとやられるだろう。というのもこの『ジ・エディ』、序盤からずっとしんどい展開が続くからだ。カッコいい演奏シーンで始まったかと思いきや、カメラが妙にズームしたり手ぶれする。そのぶん臨場感はあるのだが、執拗にミュージシャンや歌い手に近いカットで、やや困惑させられるのではないだろうか。その後「今日の演奏は最低だった」という愚痴、バンド間の確執、借金取りの登場にある事件が勃発したりと、言ってしまえば、暗い展開が続く。華やかな舞台の「裏側」を延々と見せられるのだ。

    チャゼル監督の作品に共通するのは、独りよがりで他者に攻撃的なキャラクターだが、『ジ・エディ』ではこの部分もエスカレート。アメリカで成功をおさめ、ある過去の出来事でパリに移り住んだ主人公は、敵ばかりを作る人間で、周囲から「めんどくさい奴」認定されている。視聴者からも、共感を呼ぶキャラクターではないだろう。『ラ・ラ・ランド』好きから見ても、「ジャズクラブの経営ってしんどいんだよ」「有名ピアニストの本性ってこうだよ」というものばかりを見せられて、「これは自己否定なの……?」となるかもしれない。『ラ・ラ・ランド』を好きであればあるほど、共通点を全否定してくる要素が、少々突き刺さるのではないか。そしてこれは、無意識とは思えない。

    つまりこの作品は、ある意味で「ミアに会えなかったセブ」を描いているともいえる。もしくは、「ミアを愛せなかったセブ」と言い換えてもいい。そう思って冒頭から見返すと、なんとも切ない気持ちになるから不思議だ。
  • 鈴木先生

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    人気俳優が生徒役で勢ぞろい

    最近、役者さんの初期作を調べる機会が増えている。今を時めく人気俳優の若かりし頃を観ると「ほんとだ、出てた!」となる機会が多くて面白い。

    2011年のテレビドラマ『鈴木先生』は、作品としても...
    続きを読む 最近、役者さんの初期作を調べる機会が増えている。今を時めく人気俳優の若かりし頃を観ると「ほんとだ、出てた!」となる機会が多くて面白い。

    2011年のテレビドラマ『鈴木先生』は、作品としても面白いけど、生徒役で土屋太鳳さん、北村匠海さん、松岡茉優さんが共演していて、それぞれの初々しい演技を観られる。みんな結構大事なポジションを務めていて、そして今観ても雰囲気があるし演技がお上手。

    『鈴木先生』がどういうドラマかというと、ある中学校を舞台に、主人公の教師(長谷川博己さん)がいろいろな問題に直面していく、というお話。生徒が起こした性問題やいじめ、問題行動などなど……。とはいってもシリアスになりすぎず、鈴木先生の脳内妄想が文字になって画面に表示されたり、面白い演出やコミカルな要素も多くて非常に見やすい。元々、このドラマがブレイクして、長谷川博己さんや土屋太鳳ちゃんの知名度がぐっと上がったという位置づけなのだ。

    土屋太鳳さんが演じるのは、大人びた雰囲気を持つ美少女。鈴木先生は彼女のことが気になってしまい、脳内で「おやおや」という妄想をするようになったり……。という役どころなのだけど、抜群の雰囲気で演じ切っている。しっかりヒロインを任されていて、しかも存在感が抜群で、現在の活躍を観ても納得。

    北村匠海さんが演じるのは、問題を起こしてしまう優等生。まず単純にかわいい。第一印象が「かわいいな!」になると思うくらいかわいい。でも演技はこの時点で完成されていて、観た人は「この子役は誰だ?」ってなるだろうな……というのが容易に想像できる。

    松岡茉優さんが演じるのは、困った子がいると率先して助けに行くような正直な女生徒。このドラマは教卓からの景色が多いのだけれど、毎回しっかり映っている。そして、表情が豊かなのでついつい目が行く。リーダー的キャラにくっついていくけど本心はちょっとずれていて……というキャラクターは、『桐島、部活やめるってよ』にも続いていく絶妙な立ち位置だ。

    人気俳優の初期作を観られると、見方が変わるというか、歴史を感じられてすごく面白いなと思う。
    Amazon Primeなどで観られるので、ご興味があればどうぞ。
  • 見せかけの日々

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    これが本当に実話なのか…


    「ザ!世界仰天ニュース」をご存じだろうか。世界で起こった衝撃的な事件を再現ドラマ仕立てで紹介するものなのだけど、自分と同じ「人間」に属するのに、想像だにしない恐ろしいことをやってのける者たち...
    続きを読む
    「ザ!世界仰天ニュース」をご存じだろうか。世界で起こった衝撃的な事件を再現ドラマ仕立てで紹介するものなのだけど、自分と同じ「人間」に属するのに、想像だにしない恐ろしいことをやってのける者たちを観て、ぞっとさせられる。

    Apple TV+の『見せかけの日々』は、まさにそんな感じだ。アメリカを震撼させた事件をドラマ化したサスペンス。メインの登場人物は、ある親子。娘に惜しみない愛情を注ぐ母親と、難病に侵されながらも懸命に生きる娘。慈善団体に建ててもらった家に引っ越してきた彼女たちの身に起こった驚くべき事件を、「現在」と「過去」を行き来する形式で描いていく。

    本作で暴き出されるのは、人間の裏の顔だ。絵に描いたような善良な母娘は、本当に額面通りの「いい人」なのか? 物語を追っていくうちに、2人の仮面がどんどんはがれていき、どんどん恐ろしくなっていくことだろう。「信じる」ことの脆弱性……私たちは何をよりどころに他者を判断すればいいのか? 疑心暗鬼になってしまいそうな強烈な展開が待ち受けている。

    物語は冒頭から「母が惨殺される」「娘が失踪する」といったビッグサプライズを提示し、「なぜそうなったのか?」を順を追って紐解いていく。このつくりもなかなかにショッキングで、家に踏み込んだ刑事がベッドのシーツをめくると、そこにはめった刺しにされた母の死体が……。メインキャラの1人が死亡し、もう1人は行方不明。いわば主人公不在の状態で展開していくのだ。ものの5分も観れば、続きが気になってしまうに違いない。

    過去シーンで描かれる、母と娘の関係性も考えさせられる。ネタばれは伏せるが、間違いなく健全な親子関係ではない。だがそれでも2人は親子の血でつながっている。このあたりのえぐみも、ディープでシリアスな作品を観たい方にはハマるのではないだろうか。

    演技も凄ければ、物語も強烈。そして何より、これが「実話」だということに戦慄させられる。クオリティは十二分。ご興味のある方は、ぜひ試してみてほしい。
  • ノット・オーケー シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    超能力少女の叫びが、ストレス発散に

    コロナコロナコロナ……時々、発狂しそうになりませんか?
    今は家にいるべきとき。それは分かっているんだけど、それでも「キー!!!!!」って叫びたくなる時がある。

    そういう衝動を具現化してく...
    続きを読む コロナコロナコロナ……時々、発狂しそうになりませんか?
    今は家にいるべきとき。それは分かっているんだけど、それでも「キー!!!!!」って叫びたくなる時がある。

    そういう衝動を具現化してくれたのが、この『ノット・オーケー』ではないだろうか。ざっくりしたあらすじを言うと、超能力が宿ってしまった思春期真っ盛りの少女の話。ラノベや漫画、アニメっぽくない?って思っちゃうかもしれないしそういう要素はあるんだけど、本作はもう少しダウナーな感じだ。

    彼女は超能力を操れるわけでもなければ、自制もできない。抑えきれない怒りや羞恥、リビドーが暴発して周りのものが吹き飛んだり、浮遊したりしてしまう。家で飼っていたペットを●してしまったり…割と悲惨。その空気感が、「陰キャ」だった(いや、現在進行形か)僕にとっては非常に心地が良い。同情はするんだけど、「この子も孤独なんだ」と思えることが安心感につながるというか。

    そもそも「超能力って別にありがたくもなんともない」という悲しみが斬新で面白いし、「めっちゃええやん!」って騒ぐ男子との距離感というかも絶妙。

    そして、冒頭に書いたように、結果はどうなるかはアレだけども、「衝動にしたがっていろんなものを吹き飛ばす」は(本人はかわいそうだけど)観ている人間にとっては結構すっきりする。ヒロインの女の子が「うあああああああ」ってなるシーン→何かが吹っ飛ぶ、ってのがいい。

    ストーリーも描写も面白いし、ちゃんと非リア充の気持ちを汲んでくれている。『ストレンジャー・シングス』との差別化もできている。サブカル感も強い。かなり面白いドラマであることは、間違いない。
  • ビカミング・ア・ゴッド

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    役作りがヤバい

    「キルスティン・ダンストだよな…?」、そんな声が漏れた。

    画面に映っている女性は、『スパイダーマン』のヒロインとはまるで違っていたからだ。

    役作りで体型を変化させる女優さんはもちろん...
    続きを読む 「キルスティン・ダンストだよな…?」、そんな声が漏れた。

    画面に映っている女性は、『スパイダーマン』のヒロインとはまるで違っていたからだ。

    役作りで体型を変化させる女優さんはもちろんいるけれど、彼女の豹変ぶりは相当ヤバい。これがどういう話とか、そういうことは置いておいてまず「役者ってとんでもない」ということをこの作品を観て、感じてみてほしい。1話だけでいい。充分すごさが伝わるから。

    彼女が本作で演じている役は、端的に言うとお金持ちになりたいけどなかなかなれない妻だ。夫はネットワークビジネスにハマっており、上流階級の仲間入りを目指すが、なかなか結果は出ない。そんな中、キルスティン・ダンスト演じる妻が、覚醒。2人の運命は大きく(そして急カーブをかけて)変動していく。

    ネットワークビジネスとはなんぞやという方は、ググったりTwitterで検索すれば、よからぬ噂がごまんと出てくると思う。仕事柄、(コロナ以前は)ファストフード店で執筆なんぞをよくしていたのだけれど、フ●ッシュ●スバーガーとかにはこの手の輩がごろごろしている。アレである。

    話ももちろん面白いが、キルスティン・ダンストの別人ぶりがやはりすごい。実は彼女はかなりアーティな映画にも出る方で、『マリー・アントワネット』とかのイメージも強いけど、『メランコリア』では鬱の花嫁とか強烈な役を進んで選んでいる。今回はジョージ・クルーニーも製作総指揮で参加していて、かなり社会性と作家性が強い。

    彼女が演じるくたびれたパートのおばちゃんぶりは、必見。すごいよ。
  • ナチ・ハンターズ

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    本気で過激。だが壮快!!

    過激なエンタメを観たい。それでいて見ごたえがあるものを……。そう思う機会、この外出自粛期間で増えたのではないだろうか。そんなときに試してみてほしいのが、Amazonプライム・ビデオのオリジナルド... 続きを読む 過激なエンタメを観たい。それでいて見ごたえがあるものを……。そう思う機会、この外出自粛期間で増えたのではないだろうか。そんなときに試してみてほしいのが、Amazonプライム・ビデオのオリジナルドラマ『ナチ・ハンターズ』だ。

    かつて、ナチス・ドイツの兵士たちに家族や仲間を無惨に殺害されたユダヤ人の人々が、ナチスの残党狩りを行うお話。社会派ではあるが、まず第一にこの作品は苛烈なバイオレンスが大量に詰まっている。

    冒頭のたった5分だけでもいい。観てみると、ホームパーティに客が来る→その客にナチスの残党とバレる→女子供関係なく全員射殺する、の流れが超強烈。不謹慎な言い方にはなるが、度肝を抜かれて一気に物語の世界にハマってしまうだろう。

    しかし、この過剰なバイオレンスにはちゃんと意味がある。戦争がいかに残酷で、ナチスの蛮行がどれだけ強烈だったのか、「裁きを下す」必要性をしっかりと見せているから。人間を使った残虐すぎるチェスなど、目を覆うばかりの非道に対し、後世の者や生き残った人々がしっかりと落とし前を付ける。だからこそ、この作品の「やり返す」バイオレンスは非常に壮快だ。

    第1話は、愛する祖母を何者かに殺された青年が、犯人の復讐をしようとする中で、秘密結社「ナチ・ハンターズ」の面々と知り合っていく、といったストーリー。その後、ナチ・ハンターズの濃い面々と、ナチスの残党たちの全面戦争になだれ込んでいく。

    あくまで個人的な感覚だが、クエンティン・タランティーノ監督の作品が好きな方にはきっちりハマる作品のような気がしている。過激な描写でびっくりするだろうが、見ごたえは十二分。良かったら、チャレンジしてみてほしい。
  • ジェイコブを守るため

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    息子は容疑者?父の苦悩


    予告を観て気になっていた『ジェイコブを守るため』が、Apple TV+で配信開始された。『アベンジャーズ』のキャプテン・アメリカ役で知られるクリス・エヴァンスと『IT』のジェイデン・マーテル...
    続きを読む
    予告を観て気になっていた『ジェイコブを守るため』が、Apple TV+で配信開始された。『アベンジャーズ』のキャプテン・アメリカ役で知られるクリス・エヴァンスと『IT』のジェイデン・マーテルが父子役を演じるサスペンスだ。

    どういう物語かを、ざっと説明しよう。14歳の少年が胸を複数回ナイフで刺されて殺された。犯人を追う刑事補は、自分の息子が事件に関与していたのでは?と疑念を抱き、仕事と父としての想いに引き裂かれそうになる……。彼が選んだ行動とは?

    冒頭、父親が裁判にかけられること、『ジェイコブを守るため』というタイトルから、何かしらを犯してしまったことは明らかだ。それが何なのか?を解読していくのが、本作の醍醐味。
    ある種の結果を最初に提示してしまい、そこに至るまでの内容を回想形式で見ていく、という作りが非常に上手く、良質なサスペンスと苦悩のドラマの両方を冒頭数分で期待させる。

    現時点で公開されているのは3話まで。1話の段階では、上にあげたくらいの内容にとどまっているが、不穏な空気の創出や観る者に「予感」を抱かせる「置き」の演出などが実に巧み。

    例えば、殺された少年(息子の同級生)について探るべく、学校で事情聴取を行うシーン。子どもたちの1人が「息子さんと話した?」と意味深なセリフを残して去っていく。

    その後、息子との車中の会話で、課題の『ライ麦畑でつかまえて』の話から、「人はみんな嘘をつく」「イライラするんだ」と息子は語る。この辺りも、何気ない親子の会話に見せかけて、何か重要なヒントを表しているように映る。

    そして、父はInstagramの投稿で、息子がナイフを所持しており、同級生から容疑者として疑われていることを知ってしまう……。SNSを効果的に使った演出も良い。あくまで1話を観た段階だが、非常にクオリティが高い印象だ。

    物語として続きが気になるのはもちろん、画面全体に不穏な雰囲気を醸し出させてシリアスなムードを保っている。かといって重くなりすぎず、上に挙げたような新展開を効果的に挟み込むことで、視聴者はずっと緊張感を保ちながら観続けられる。

    役者陣の演技も素晴らしく、クリス・エヴァンスの検事補と父親の狭間で苦しむ演技、どうしようもなく父親の情や業がにじんでしまう絶妙なさじ加減には唸らされる。

    ジェイデン・マーテルはミステリアスな雰囲気を常に纏い、視聴者にとって「疑惑の人物」であり続ける。この「疑惑」がポイントだ。父母を愛する良い子でありつつも、何か闇を抱えているようにも見える。彼もまた、微妙なニュアンスで揺れ動いているのだ。

    面白いドラマを引き当てたというワクワク感を得られることは必定。ご興味のある方は、是非試してみてほしい。
  • ユニークライフ シーズン1

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    懸命に、恋に生きる

    “誰か”をずっと探している。それは恋人でも、友人でも、オンラインでもリアルでもいい。人は、人を想うものだ。いつだって心のどこかで理解者を探している。

    そんな当たり前の慕情を、優しく描いたド...
    続きを読む “誰か”をずっと探している。それは恋人でも、友人でも、オンラインでもリアルでもいい。人は、人を想うものだ。いつだって心のどこかで理解者を探している。

    そんな当たり前の慕情を、優しく描いたドラマ。それが『ユニークライフ』だ。主人公は、自閉症スペクトラム障害を抱える青年。恋に憧れつつ、なかなかうまくいかなくてもどかしくて、人を傷つけてしまって自分も傷ついて……ほろ苦い経験に苦しむ。自閉症との闘いは大変で、自分が思った通りに人と接することがなかなかできない。でも、心配性な母親や不器用な父親、しっかり者の妹がついていてくれる。

    このドラマは、主人公が成長していくストーリーではあれど、身の周りに当たり前のようにあった優しさに気づいていく過程も描いている。個人的には、それがとても素敵だと思うのだ。自分が生きているということは、周囲に生かされているということでもある。沢山の善意に囲まれていて、心が疲れたときなんかにこの作品を観ると、「温かいなぁ」とほっこりする。

    主人公が親しみやすいキャラクターなのも好印象。ペンギンと南極を愛する彼は、比喩表現や忖度することが苦手。ストレートな物言いで女性を傷つけてしまうこともしばしば。でも、実は誰よりも傷つきやすい人物。そして、一生懸命だ。自分の欠点を克服しようと努力するし、いつも他者を愛し愛されようとしている。その部分がしっかりと描かれているからこそ、観る側も自然と応援できる。

    『Love,サイモン』や『スウィート17モンスターズ』『セックス・エデュケーション』など、悩みながら成長していく青春映画やドラマは近年ますます素晴らしい作品が増えてきた。本作もまたその系譜にありながら、それでいてやっぱりあったかい。
  • ザモーニングショー

    5.0
    • 出演者
    • ストーリー
    • 演技
    • 映像

    当事者感がずば抜けている緊迫ドラマ

    個人的に今注目しているApple TV+。NetflixやAmazonプライム・ビデオに比べて後発となる彼らが、どんな作品で勝負に出るのか。これまで『サーヴァント』『リトル・アメリカ』『ディキン... 続きを読む 個人的に今注目しているApple TV+。NetflixやAmazonプライム・ビデオに比べて後発となる彼らが、どんな作品で勝負に出るのか。これまで『サーヴァント』『リトル・アメリカ』『ディキンスン』等を視聴したが、どの作品もクリエイティビティが抜群に高い。なるほど、Appleが目指す作品は、洗練されたデザイン性が光るものが多いのだろう。

    そして、その中でも目玉作品として発表されたのが本作。どういうドラマかというと、第1話を見るだけでもかなりショッキング。描写がエグいとかではなく、扱うテーマやストーリーが他ではなかなかお目にかかれない攻めた内容なのだ。

    この作品は、ニュース番組の男性キャスターにセクハラ疑惑が生じたことから、周囲の人間が追い詰められていく姿を描いている。まさに、「MeToo」問題を描いた社会派サスペンスだ。彼と15年コンビを組んでいた女性キャスターは対応に追われ、男性キャスターはいきなり解雇。「すべて合意の上だ!」とブチ切れるが……

    夜中に電話が鳴るシーンから始まり、冒頭からぐっと引きつけるサスペンスや、朝の報道番組がどうやって作られているのか、その全てがわかる作りも面白い。出演陣の演技も凄まじく、アカデミー賞女優リース・ウィザースプーンが激高するシーンなど、圧倒されるだろう。陳腐な言い回しになってしまうが、サスペンスの作り方が抜群にうまく、「これはお金を払って観るべきクオリティだ……」と震わされるというか。共通するテーマを描く実話ドラマ『スキャンダル』はもう少し実話ベースらしい厳粛な雰囲気が漂う(被害者の目線で描いているからこそ、というのもある)が、本作はヒリヒリするような緊迫感が漂い、かなりアップテンポ。自分がテレビの局員になってリアルタイムで修羅場を目撃しているというか……臨場感が凄まじいのだ。

    まだ1話を観た段階だから軽はずみなことは言えないが、これはたしかに面白い。何よりレベルが高いから、ぐんぐん引き込まれる。ご興味のある方は、是非どうぞ。
評価をする